人事からみた採用とキャリアアップの実情

長年の採用・教育経験から新卒就活、転職、シニア転職、キャリアアップを企業側からの目線で情報発信していきます 

情報のさばき方で大きく変わる時代

恵まれた情報民主主義時代

現代は18世紀の人が一生を掛けて得る情報を2週間で得ることが出来ると言われています

これを情報の民主主義の時代という人もいれば情報洪水の混乱期と呼ぶ人もいます

「誰でも簡単に情報を得ることが出来る有難い時代」と恩恵のありがたさを感じたり

「色々な情報がとめどなく溢れていて混乱している時代」と危険に感じたりを繰り返します

Twitter社の大量解雇が行われていますが「ツイートのチェック者が大きく減る=悪質な情報や悪意に満ちたコメントが取り締まれない」が懸念されます

「企業は人・物・金」も私が大学生になると「企業は人・物・金・情報」と変化していきました

情報を制すものが戦いを制すというぐらい情報の有無は重要な時代になっていきます

経済学の先生が「高賃金を得たいならスパイがおすすめ」と冗談交じりに言ったのを今でも覚えています

 

情報戦がポイントのミッドウェー海戦 

教育企画部にいた頃、社長から本を渡されそれをテキストにするという仕事を任されていたことがあります

私の担当するのは「ミッドウェー海戦」と「あ号作戦」

社長の本には赤鉛筆と青鉛筆で要所・要所に線が引かれています

数か所に鉛筆で「米国と日本の大学進学率」などが記入されたりしています

これを見ていると頭のいい人はこうやって情報を捌いているのかというのが少しわかりました

当時の日本の連合艦隊は世界一で、量・質・兵の練度など米国を圧倒しています

米国側は「戦力差と勢いがすさまじく、太平洋を占領され、米国の西海岸まで進軍してくるのは時間の問題」とまで押されていたようで「ロッキー山脈で日本軍を食い止める」という作戦まで考案されていたようですが、ミッドウェー海戦でこの戦況がひっくり返ります

ミッドウェー海戦の総括を見るとあれだけの海戦の激しさより情報戦の動きに8割が費やされています

米国はかなりの明晰な頭脳と人員を日本軍の暗号解読に割いています

全てが解読できたわけではなく、断片断片しかわからなかったようですがそこから「ミッドウェーが敵の次の標的」と判断します

「桜」「酒」「場所取り」から「桜見をするらしい」と判断するようなレベルです

「ミッドウェー島の上水槽が壊れた」と偽情報を流すと「Ⅹ水無し」と日本軍が発信し、ミッドウェーだと確信します

圧倒的に強い力を有していても情報の有無で勝敗が決まるということを私はここで初めて学びます

 

頭のいい人はどう情報を捌いているのか 

頭のいい人は毎日流れてくる膨大な情報を、どうやって自分にとって有益なものを集めてさばいているのでしょうか

東京大学大学院経済学研究科教授 柳川 範之さんは現代の情報処理で重要なポイントをのべています

昔は情報の量が限られていましたから、入ってくる情報は逃すことなく拾ってくる必要があり、できる限りたくさんの情報を持っておくことに価値があったといいます

しかし、現代はあまりにも情報があふれていますから、昔のままの情報収集術では対応できなくなってきています

では、日々洪水のようにやってくる情報にどう対応していけばいいのか?

大量の情報の中から自分に必要な情報をいかにうまく集め、不要な情報を捨てるかという情報を取捨選択できるか

頭の中に入れる情報をあらかじめ制限したり、絞っておくことではなく無制限に頭の中に入ってきた情報の中から何を拾って何を捨てるか、ということです

この情報の取捨選択の仕方というのは、日頃、頭の使い方の工夫をしている人とそうでない人とで差が大きく出てくるようです

 実際、同じ情報に接したときでも、その情報がまったく頭に残らない人と残る人とが出てくるのは普段からその情報に関連することを考えている人は、大量の情報の中からその情報をピックアップできるそうです

以前島田紳助さんが「小さい頃からすし屋になるんだ!」と思っていたら、教えてもらわなくても魚がおろせて調理師学校の先生が驚いたそうです

伸介さん曰く「強く思っていると、不思議とその情報をアンテナでキャッチしているようだ」とのこと

何を必要としているか普段から考えているかがポイントのようです

 一方、あまり考えていないことは情報が右から左に流れてしまって、あまり頭の中に残っていないですよね

 では、よく考えている人というのは、どのようなメカニズムで情報に接しているのでしょうか

それは自分の関心や興味に基づいて情報に接するということになります

『ハーバード・ビジネス・レビュー』の前編集長の岩佐文夫さんは

「どう考えるかではなくて、それ以前の情報のインプットの質が良いかどうかが大事で、いくら考えたとしても、もともとのインプットの質が悪ければ、良いアウトプットは出ない」と述べていました

頭の中に良い網を張っていると、良い情報が引っかかると強調しています

 そのように積み重なった情報が、その人にとっての「思考の骨組み」になっていくようです

今のような情報過多の時代には、すべての情報をつかまえることはできませんし、あらかじめ頭の中に網を張って情報を流していくというやり方がいいと柳川さんは言います

取捨選択した中で良い組み合わせをつくっていけるかどうか、それが独創的なアイデアや考えにつながり、その後のその人の発展を決めていく要素になると述べています

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました