人事からみた採用とキャリアアップの実情

長年の採用・教育経験から新卒就活、転職、シニア転職、キャリアアップを企業側からの目線で情報発信していきます 

カスハラはどうなっていくのか

カスハラしやすい人とは

カスタマーハラスメント=カスハラとは、カスタマー=顧客から受ける理不尽な要求や暴言・暴力などのことで、 サービス業に従事する人などは特に被害にあいやすいです

カスハラにあい、精神的なストレスやトラウマになることもあります 

先日の報道番組で、カスハラしやすい人は『役職者のまま定年退職した人・管理職や元管理職』などが上げられており、中高年・シニア層に多いようなイメージが植え付けられます

「そんなことはないだろう!」と調べてみると

81.1%が男性

50歳代・・・40.6%

40歳代・・・20.3%

30歳代・・・17.2%

40歳代~60歳代 の男性が多いということになります

いわゆる命令する立場の人に多い傾向だそうです

「俺には関係ない」と思っていた50代の会社役員の方が、アンガーマネジメント研修を受けて「えっ!俺それしてる!カスハラだったんだ」と自覚した例もあります

この年代の男性は、その前はパワハラで叩かれており、その時も自分の考え方を変えようとしない人』『相手の気持ちがわからない人と分析されています

私も正にこの年代のど真ん中にいます

命令口調にはなりませんが「こうした方がいいよ!」と教えクセがでたりして注意が必要です

自分を注意する人がいなくなった立場の人は裸の王様一直線という自覚が必要かもしれません

おもてなし精神の日本だけど 

キレる老人問題などもありますが、こちらもほとんどが男性で、脳の劣化に伴い理論・理性での判断ができなくなったことによるものです

そもそも男性は女性に比べて、左脳と右脳を結ぶ脳梁が細いんです

アメリカへ会社の研修で行った時も

「店舗に入って店員が接客する為に近寄ってきた時、無関心にスルーする行為は非常に失礼だ」とロス駐在の研修担当者に注意を受けたことがあります

「トイレはノックしないでください!せかしてるみたいです!軽くドアノブをまわして、施錠されているか否かを確認してください」

といい歳した管理職が異国の地で子供のように注意を受けます

日本人は気遣いができる民族と思っていましたが、そうでもなさそうです

高級時計店や家具店のガチノルマの店員は、見かけで露骨に差別してきます

海外に行くと、顧客として不遇とも言える扱いを受けることが少なくなく「この辺は日本はいいな」と感じます

桜美林大学の西山守准教授は日本ほど顧客が強い国はほかにない企業は担当外の業務は応じる必要はないと従業員にはっきりと伝えるべきだといいます 

「お客様は神様です!」は遠い昔の言葉になったようです

世界一のおもてなしとカスハラは表裏一体 

カスハラに対しては真っ先に東京都が取り組みましたが、これは全国的に取り組んでいくと思いますが

ただ

1.カスハラか否かの線引きが難しい

2.条例が施行されても、企業側の対応が変わらない限り状況は改善しない

3.法が整備されても、クレーマーの行動は改まらない 

などが上げられます

西山准教授は日本の接客サービスは世界一であると実感しているが、それは日本の接客サービス従事者が過剰な対応を余儀なくされてきたことと表裏一体だと述べています

国と人によっては顧客と対等どころかサービスを提供してやっている俺のほうが偉いと言わんばかりの態度を取るスタッフもいるそうです

この辺は海外旅行によく行く人は感じると思います 

アジア諸国は比較的顧客を立てる傾向はあるが、日本ほど顧客側が強い国はないです

日本において「お客様のほうが偉い」「客の言うことは聞くべきだ」という発想が定着してきたのは

1.人材の均質性

2.長期雇用を前提とした教育・育成システム

3.業務範囲が曖昧な雇用慣行

4.企業側の炎上リスク

という日本の労働市場の特性に基づくものだそうです

もともと日本は、労働者の民族や文化が均質で、教育レベルが平均的に高いため、一定水準のサービスを維持することが比較的容易でした

さらに、人材の流動性が低く、長期雇用を前提とする環境下で、長期的な職業教育、人材育成が可能となっていたことによって、一定レベル以上のサービスを安定的に供給することが可能になっていたと西山さんは分析しています

日本の労働者は業務範囲が明確ではなく、マルチプレイヤーであることが求められる傾向があり、海外では作業範囲外の仕事はこれは自分の仕事ではないと断ることが通常に行われているそうです 

日本においては、顧客から依頼されたスタッフはできる限りそれに応えようとし、顧客側も「ここまでやってもらうのが当然」と考えるようになってしまったようです

長期的雇用は崩れており、企業に対する帰属意識、忠誠心を植え付けることは難しくなっています

さらに接客業を支える若年層の労働人口は減少が追い打ちをかけてますから、貴重な若い労働力を守るためにも法整備は必要です

西山さんは法整備を前にして、企業側には以下のような対応が求められるとしています

1.カスハラの基準を明確にすること

2.マニュアル化と、それに基づく社員教育を進めること

3.紛争が起こった際の対応を強化すること

です

サービスを受ける側も、もはやこれまでと同じクオリティーのサービスを同じ価格で受けることはできないことを理解しておく必要があります

また、不適切な対応を取ると①今後サービスを受けられなくなったり②法的なリスクを抱えたりする可能性もあることも自覚すべきとなります

法整備をきっかけに企業側と顧客側の両者が、顧客サービスに関する認識をアップデートすることが求められるてきているようです

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました