人事からみた採用とキャリアアップの実情

長年の採用・教育経験から新卒就活、転職、シニア転職、キャリアアップを企業側からの目線で情報発信していきます 

世界のZ世代の就業の現状

餅は餅屋 Z世代ビジネスはZ世代に

昭和の日本人労働者を評してイギリス人はウサギ小屋の働き中毒と言いました

粗末な家に住み、長時間労働をしている民族と見ていたようです

バブル期の日本は「24時間戦えますか?!」というCMが流れており、学生ながらこれが社会人の条件だと思っていました

私のようなⅩ世代が社会に出た頃、当然「最近の若い者は・・・」という目で見る大人がおり新人類などと言われる言葉も出来ました

なにかと煙たがられる昭和入社ですが、帝国主義時代の親に育てられたせいか組織への忠誠心は強く、目標は貫徹する強さがあり超人のような人もいました

現代のような情報民主主義ではなかったので、昭和入社の社員は歴史の名著や偉人から生き方を学ぶ人が多く、社会人としての思想はしっかりしている人が多かったように思います

Y世代・Z世代から見ると「頑固だ」「考え方が偏ってる」などと言われますが、良い方に偏っているように感じられます

バブル期前の昭和入社はのような人がまだ残っていたように見えます

時代の環境に合わせて若者の労働観も変わってくるので、これからはZ世代の価値観に合わせるのがベストになっていきます

日本はZ世代の少ない国ですが、商品開発・サービス・働き方はZ世代に標準を合わせてシフトされていきます

最近はZ世代をチームリーダーにすることが増えてきましたがZ世代のことはZ世代に任せるのがベストとなってきています

未来を担うZ世代の労働観は非常に重要になってきます

 

フランスで今起きている「働かない若者」問題 

日本でも同じですが、特にフランスでは若い人たちはきつい仕事をすることに拒否的で長時間立ちっぱなしの労働が避けられています

とはいえ、若者の仕事ですから就労することは多いですが、突然仕事を辞める人が多く困っているようです

フランスの若者は自分の仕事や会社・ビジネスに対してあまり関心を持っておらず、パン職人・パティシエ・美容師・販売スタッフなどは人手不足で困っているのが現状です

これはフランスの気前の良すぎる失業保険のせいでもあり、仕事を辞めても2年間は失業手当をもらえることと「できうることなら働きたくない」という若者気質が重なり、立ち仕事の人手不足が深刻のようです

多くの人が新型コロナウイルスの影響下でこの特権に気がついてしまい、一部の人たちは自分の人生の「優先順位」を考えるようになった結果、人生のクオリティを下げるような仕事などを辞める人が増えているのです

フランスのZ世代は

近い将来どうなるのかわからないのに、なぜ努力するのだろうあまり深く考えず、日々を生きる方が楽だ

お金を稼ぐことは、もう重要なことではない

という考えだそうです

これはイタリアの若者も同じような考え方をしています

仕事で大切なのは

『気軽に帰ることができること』

『旅に出られること』

『必要最低限の給料で時間の融通が利くこと』だといいます

 米国でも「大量離職=グレート・レジグネーション」と呼ばれる傾向があり、2021年初頭から始まった多くの社員が自主的に退職する経済トレンドです

原因には、生活費上昇の中での賃金低迷、仕事への不満、パンデミックによる安全性への懸念、リモートワーク施策の充実した企業への就職希望などがあるようです

米国はFIRE発祥の地だけあり、マネーリテラシーは若い世代でも高い傾向です

コロナが治まりはじめ離れた客は戻ってきたが、離れた従業員は戻ってこないが今、米国では深刻な問題のようです

「そんな若者なんか雇うものか!」と拒否するか

「そんな若者に合わせて職場を変えなきゃならない」と考えるかが企業の難しいところです

 

中国で社会問題化している「蟻族」 

日本では近年、大学進学率が50%を突破し「大卒=高収入」というモデルは崩れつつありますが、そういった状況は中国にもあるようで大学を卒業しながら低賃金の仕事に甘んじる蟻族という若者が問題になっているようです

中国は「ここから下の大学は大卒と認める必要がない」とはっきり言える国で、日本で政府がそのような発言をしたら政界から即退場させられます 

かつての中国では、大卒者はエリートとして将来を約束されていましたが、1998年に大学の規模を拡大する政策が実施され、大学の数も定員数も増大した結果98年に90万人に満たなかった卒業生の数は、2016年には760万人にまで膨れ上がりました

中国の産業界の現状は、エリート意識の強い大卒者が希望するホワイトカラー=頭脳労働者より、即戦力になるブルーカラー生産現場の労働者をより多く必要としています

その結果、仕事はあっても、学生の希望と企業側が求める人材との間にミスマッチが生じているため、就職できない若者が増加し社会問題ともなっています

その大卒の若者を蟻族と呼びます

正規雇用の安い仕事に甘んじて暮らしをしのいでいます

また就職をあきらめ、実家に戻って親のすねをかじる傍老族も増えています

幼い頃から勉強を続け、高い学費を払って大学に通っても低賃金労働ではやりきれないと悩むのは日本人も中国人も同じようです

韓国では15~29歳の失業率は2012年以降上昇し続けており、2020年には日本の倍の9%になっています

韓国のトップ4大卒業生の就職率は過去数年60~70%と高学歴でも3~4割が職にあぶれる過酷な現状だです

韓国はかなりの格差社会で、一流企業に就職するのと中小企業に就職するのではその先の人生が全く違います

韓国の受験戦争のし烈さは有名ですが、皆、必死に高学歴・高スキルを目指し大学進学率は98.5%とアジア圏で断トツトップです

サムスンヒュンダイを含む上位10社が国内の時価総額の半分を占める韓国において、高給高待遇の大手企業や公的機関への就職は極めて狭き門です

従業員数250人以上の企業に就職できるのは国の労働力の13%で、大卒の大手・公的機関の就職口は3分の1以下だそうです

結果的に多数の若者が学歴に見合わない低賃金職で身を粉にして働かざるを得ないのが現状で「だったら働かない方がマシ」と無職に甘んじる若者も少なくない そうです

これからの社会の担い手のZ世代の就職はどこの国も大なり小なり問題はありそうです

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました