日本は労働信仰の国
引き続き60歳以降の労働について考えたいと思います
フランスの年金受給延長による暴動を見るにあたり『労働から人生における価値は見いだせない』と考えさせられます
日本人は勤勉思想が植え付けられているので「元気なら労働をするもの」「働くことは美しい」「働かず遊ぶことは悪」と多くの国民が思っているかもしれません
多用化の進んだZ世代でも、親がX世代の場合が多く労働信仰は浸透しています
国としても老後もずっと働いてくれた方が「税金とれる」「労働力不足を埋めれる」「増えた収入で消費する」「年金受給年齢を遅らせてくれる可能性が高い」というメリットがあるので「働いている高齢者は美しい」という空気を必死に作っています
海外から見ると「60歳・70歳で働かされている日本人はかわいそう」と映るようです
シニアの職種はミスマッチも多い
60歳過ぎて働く理由には「お金の為に仕方なく」が最も多いですが「職場の人間関係がよくコミュニティとして継続」「この仕事が好きだから」という意見もあります
大なり小なりお金を得たいからはあると思いますが、海外の方々の目に映るほど「老後も仕方なく働かされている老人」ばかりではありません
ただ、部長などの高い役職だったり、高度な技術を身につけたスペシャリストだったりすると仕事を選ぶようになりがちです
私の大叔父がそうでしたが、誰もが知っている超大手企業で人事部長をしていましたが、定年再就職は通常のシルバー業務には目もくれず「大手で人事部長してたんだからそれなりの地位を要求する就活」を続け、大量の履歴書を発送していました
本人も「規模が小さい会社なら部長で雇ってくれるはず」という考えがあったそうです
縁故や知人の紹介でもない限り難しいと思います
私が部長で転職できたのは先輩の経営コンサルタントの推薦でしたので、正規の採用ルートではありません
それでも「最初は支店長からでいいですか?」と言われ、半年後に課長で2年後に部長でした
大叔父が言うに「定年したら年賀状は激減し、年始の挨拶やお歳暮やお中元は来なくなった」という寂しさもあったそうです
「今までは自分の役職と付き合ってくれてたんだ」という現実をなかなかみれないようです
結局は定年再就職はかないませんでした
男のメンツは厄介な時があります
対して、大型支店の支店長だったのにタクシードライバーになる人もいれば、部長だったのに清掃の仕事にすんなりついた人もいます
現実的に定年後に雇用してくれる仕事は『若者が集まらない仕事』『低賃金で不人気な仕事』が多いです
やりたい仕事・得意な仕事がないのが、定年再就職組と現実の仕事のミスマッチが多い理由のようです
「60歳前後でリタイアできるのは贅沢な人生」と言いますが、最近になりうなずけるようになりました
若い世代に言いたいのは、60歳過ぎて住宅ローンが残っていることと、子供が大学生は絶対避けた方がいい人生計画です
学習期も労働期も自由ではない
義務教育は中学3年生までですが、多くの人は18歳から22歳のだいたい20年間の学習期を過ごします
学習期は授業だけでなく、部活動や宿題や受験勉強もありますので思いのほか自由は少ないです
労働期は『生活の中心に仕事がある』人がほとんどで、365日自由に行動できる人は少ないです
そう考えると『本当の自由は引退後』となります
引退して、山登りと旅行と映画鑑賞の毎日の元上司は「今が青春」とよく口にします
海外では当たり前のライフプランでも、勤勉で労働信仰の摺り込まれた日本人は「働けるうちは働いた方がいいのでは?」と考える人も少なくありません
『自由を与えられてもすることがない』はもったいない人生だと思います
日本人男性は長らく労働信仰を摺り込まれていたので『打ち込める趣味がない』『楽しめる遊びを知らない』という人は意外に多いです
とある会社では、定年再就職の方の面接で「趣味は何ですか?」と聞いているそうです
「趣味がある人は脳が老化してないし、身体も元気な場合が多い」そうです
勤勉なことはいいことですが、労働信仰を摺り込まれた世代は『自由の素晴らしさ』『打ち込める趣味』をもう少し考えた方がいいと思います
好きな仕事ならいいですが「いつまでも嫌な仕事で働き続ける」「趣味もなくただただ引きこもる」老後はいかがなものかと思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました