人事からみた採用とキャリアアップの実情

長年の採用・教育経験から新卒就活、転職、シニア転職、キャリアアップを企業側からの目線で情報発信していきます 

口は1つ耳は2つ 私達は喋りすぎ

カウンセリングのスキルをもっと身近に

社会人としてキャリアを積み重ねていくと『発信力』は磨かれていきます

朝礼をやる立場になったり、チームのリーダーでミーティングをする立場になったり、プレゼンをしたり、苦境でも何かしらの方針を出さなければならなかったり、発信力は人を引っ張る意味でも重要です

新任支店長研修でコーチン心理カウンセリングの実践ロープレをしましたが「コーチングは役立つよね」「カウンセリングの共感と傾聴はしんどいな」という声が圧倒的に多かったです

発信脳は鍛えられているが、受信脳は鍛えられてないということのようです

勝手に「個人的に心理カウンセリングは向いてないな」などと思っていましたが、向いている向いてないでなく管理職には絶対必要なスキルと気づかなかったようです

それでもインストラクター室の方が「人の話を聞く能力に長け、意見しやすく相談しやすい支店長の支店は定着率もよく、人も良く育つ」と言っていた言葉のみは頭に残っていました

当時はまだ昭和の「俺についてこい!」が評価される風潮が残っていましたので強い発信力で引っ張る力は多少人の定着が悪くても許されていました

就職氷河期なので「人はいくらでも採用できる」という安心感もあったと思います

ただ、発信能力には長け、受信能力は劣る人が管理職というのは非常に怖い状態に思えます

 

心にもある自然治癒力 

会社が期待していたのは単に「部下の話をよく聞いて親切に対応しましょう」ではありません

例えば上長に対する不満が溜まっている人にカウンセリング対応するとします

「うちの支店長は一方的に指示を出すだけで、私たちの言葉に聞く耳をもちません」

「支店の業績のことしか頭にない人で『その取引先は・・・』などと理由を話そうとしても『言い訳するな!』と返ってきます』

「会社はなんであのような人を長にしたんだろうと思います」

「業績が少し伸びたのも、社員が無理に無理を重ねて頑張ったからで、社員の犠牲の上で成り立っている支店なんです」

「業績が伸びて評価が上がるのは支店長だけ!私たちのことなど考えてもいない人です」

共感してうなずきながら話を聞き続けていると少しづつ変化が現れます

「でも支店長も、都会からこんな業績の悪い田舎の支店に来て大変だと思います」

「大きな顧客だった企業が倒産し、虫の息でしたから」

「家族も東京から連れて来て、子供さんの転校やら、奥さんの田舎の地域コミュニティやらも大変ですよね」

「たぶん相当なことをやらないと支店閉鎖の可能性もあると考えてたんだと思います」

頭の中が整理されてくると心にも変化が訪れます

私達の身体は傷ついた時に直してくれるのは、医者でも薬でもなく自分の持つ自然治癒力です

身体に自然治癒力があるように心にも自然治癒力があり、それをサポートしてくれるのが心理カウンセリングです

 

出来ない理由から出来る方法へ 

さらにカウンセリングを続けていくと意見が建設的になっていきます

「私達は出来ない理由ばかり並べていたと思います!これからは出来る方法を主張していきたいと思います」

ここまでくるとほぼカウンセリングは終了と言えます

どこ・なぜ・どう 

どこ・なぜは小利口であればすぐに口に出せます

どう(する)を考えるのが大変なんです

ただふんふん聞いているだけだと話す方もうわべだけだと見抜きます

聞き方のスペシャリストが心理カウンセラーで、これは人を育成する立場にある人には必要なスキルです

ユダヤの格言に

口は一つ、 耳は二つ、神はそのように私たちをつくりたもうた

「自分が話した倍、他人の話を聞く必要がある」と説いています

話すことの倍聞くことは大切なのです

とあるベテランの支店長の講義のレジメの表紙に

私達は喋りすぎと書いてありました

朝礼、ミーティング、会議、説教・・・どれをとっても喋りすぎてる=聞く量が足りないということです

部下に喋らせるということは悩みを言語化するという行為です

心理カウンセリングも、もやもやした悩みを言語化して伝えようとしているうちに自分で自分を治療していきます

もやもやした無意識を意識に変えるのが言語化です

言語化言葉にすることで悩みがはっきりするということです

話す以上に聞くということは訓練がいると思います

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました