人事からみた採用とキャリアアップの実情

長年の採用・教育経験から新卒就活、転職、シニア転職、キャリアアップを企業側からの目線で情報発信していきます 

人事の重要な業務とは何か

本社はコストセンタ

営業マンは増やせば売り上げが上がるけど、事務職は増やしても売り上げは上がらない

という現実があります

これをかつて本部はコストセンタと言い切り、ひんしゅくをかった役員がいました

慌てて別の役員が「営業は筋肉!本部の部署は内臓!社長は頭脳!内臓に働きは見えにくいが、なければ死んでしまう!」と言い換えてました

「あんたは売り上げを創るわけでもなく、売れるものを創るわけではなく、売上を生まない仕事をしている」と言われれば、やる気は失せます

当時の私は営業企画部だったので「売れる仕組みを作るは微妙だな・・・」と感じた言葉でした

「いい物を作っているのに売り方が悪いから売れない」

「いくら売る力があっても、こんな商品じゃ売れない」

などの作り手VS売り手の小競り合いはよくあるかもしれません

それほどこの2つが利益に直結するからです

では、私も長く在籍した人事部にスポットを当てて、その存在意義を考えてみます

人事の役割は個人的に4つあると考えている 

2月も中盤に差し掛かると、異動辞令にそわそわしていました

「バレンタインデーはチョコと同時に異動命令が来る」などと密かに騒いでいました

「どこに異動させられるか?」はキャリア職にとって重要な問題です

大名のお国替えに似たものがあります

人事で最も重要なのは人材の配置になります

支店長を代えたら業績が伸びたなどありますから、適材適所をその時々の状況に合わせて行います

これ次第で会社の業績も大きく変わります

次が評価の仕組みいわゆる法律やルール的なものも含みます

会社は何を評価しているのだろう?」で行動基準も、活力も、モラルも変わってきます

ただし、苦戦が予想される場所に、立て直してもらう為に異動させるときも多々あります

業績とあまりにも直結させると「実力はあるのに不遇な環境を任せた人間」から不満が上がります

人事は平等と公平の違いをよく理解しなければなりません

平等は「5人で飲み屋に行ったのだから支払いは5分割」という考え

公平は「2人はお酒が飲めないから1000円安く」という考えです

「業績は悪いけど、あれだけ厳しい支店を任せているんだから、その分を配慮しないと」という公平思考は重要です

「売上順でボーナス額が決まる」などは平等ですが、意外に活力は失われます

人材獲得力×活用力 

日本の労働人口は、これから5年少しで1000万人減少します

特に若年労働者は320万人減ります

AIやマシンにどんどん切り替えても追いつかないと言われています

2023年の春闘賃上げ予測が3.60%という素晴らしいものでしたが、2024年は3.95%と予測されています

この6年間で大卒の初任給が2.4万も上がっており、なかには40%も引き上げ30万を越える企業も目につきます

「うちは足りない時だけ採用するだけだから、新卒採用は関係ないよ」という会社もあるかもしれませんが、大企業の中途採用比率はどんどん上がり、過去最高の37.6%です

新卒採用の優れた学生は大企業に採られるだけでなく、即戦力人材も大企業に採られています

次に重要なのが採用力となります

「力」をつけたのは、営業同様の競争に勝つパワーが必要だからです

零細企業でも採用力が強い会社はあります

田舎にあっても採用力が強い会社はあります

不人気業界でも採用力が強い会社はあります

賃金は並でも採用力が強い会社はあります

よほどのブランド企業でない限り、営業力と同じく採用力がないと『あぶれた人材しか採れない』会社になってしまいます

ただ頭数を揃えればいいというものではありません

次に教育・研修があります

「うちは実戦型だからすぐに現場出して、実戦で覚えてもらう!」という企業もありますが、定着率は悪いです

特に1年目の研修量は重要で、3年目まではフォローする研修が必要です

「今期は半年間の入社研修を行います」と10月まで配属されなかった時期があります

現場からすると「早くよこせよ」と思いましたが、その年の社員の定着率は非常に高かったです

現場任せの教育は怠慢で、チェックノートやフォロー面談などを現場と連携してすべきです

OJTとOFFJTは連動させることが大切です

いい人材を獲得する採用⇒立派に育成する教育⇒活躍できる評価システム⇒優れたマネジメント職の下で働くで全てはつながっています

その他、いろいろな業務が人事にはありますが『企業は人なり』というのであれば、上記の4つだと個人的には思います

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました