雇用変化に悩むX世代
50代の転職が活発化しているそうです
その要因は
・終身雇用制度の崩壊
・役職定年への不満
・労働条件や仕事内容・給与に関する不満
・人間関係など所属する会社に対する様々な理由
・キャリアアップの変化に対する嫌悪感
・自身の求める仕事の希望への絶望
などがあるようです
この6年間で16万人増加しており、転職者全体の約16%をX世代の転職者が占めているそうです
X世代(1965年~1980年)はバブルの崩壊や冷戦を経験してきた世代です
情報源はテレビや雑誌で、若い頃は携帯電話などなく、給与が増えだした頃にそれらのテクノロジーが普及したためデジタルイミグラントと呼ばれることもあります
社会に出た頃は、頑固で仕事に厳しい「伝統主義者世代」と競争にめっぽう強い「ベビーブーム世代」 を上司に持ち、バブル崩壊した日本経済の失われた〇十年の中を生きていきます
雇用に関しては「新卒一括採用」で同期間で競争をさせられ「終身雇用」で生涯会社に雇ってもらうという思考で働いていました
新卒で入った会社を去ろうものなら「裏切者」「脱落者」などの目で見られた世代です
「ジョブ型雇用」「リスキニング」「役職定年制度」「70歳まで雇用延長」などの言葉は頭に備えていません
役職から降りる辛さ
私もX世代です
先日、元同僚のX世代のIさんと飲みましたが、驚くことに会社を去ってから3年間に5回も転職を繰り返していました
ベテランでスキルもあり、人物的にもいい人なのですが何故サラリーマン晩年期にコロコロ仕事を変えたのか・・・
コロナが落ち着き、世の中は人手不足の転職売り手市場です
50代でも転職出来ないという時代ではありません
ただ、かなりの求人に申し込み、書類選考で蹴られまくり、面接にたどり着いてもなかなか採用には至らないので数多くのアタックは必要です
私はグループのリゾート部門の採用・教育への異動ですが、Iさんは宿泊業のベテランです
「なぜ、やっと見つけた就職先をすぐに辞めてしまうのか?」探ってみると「長年培った能力を評価してくれない」と言いましたが、評価したからこそ採用したのだと思います
よくよく聞くと「役職がなく平社員」「年下の管理職に指示される」が原因のようです
管理職候補としての採用は30代がメインになり、50代ではよほどの人手不足企業でない限り厳しいです
50代はすばらしい能力・実績の方が多いのは事実だし、本人も「これまで積み上げてきた実績」には自信を持っています
スキルも知識も存分に持っている方も大勢いますが「能力は素晴らしいけど伸びしろがない」と思われています
個人差はありますが、人は45歳を境に体力、気力、挑戦力が急激に衰えて「自然定年」と呼ぶ状況になります
リスキニングで学び直して異業種で活躍も十分可能なんですが、その気力が失せている人が多いです
長年組織に飼い鳴らされていたせいか、起業という選択肢もありません
Iさんも転職エージェントの人は「すばらしい経歴です!いい会社があればすぐにでも紹介します」と言われたと言っていましたが、それは人材紹介業の人の目線で雇う側から見れば「ベテランで有難いけど役職はちょっと・・・人手としてなら雇うけど」が本音だと思います
また現在の労働法では求人票には「年齢不問」と書くしかなく「50代以上お断り」とは掲載できません
書類選考や面接で年齢を理由に採否を決めることは、違法行為になったのです
企業は決してそれを理由に断ることはないが、年齢制限はしっかりと残っています
能力と実績がプライドを強固にする
「豊富な経験と能力を活かして若い世代のサポートをしていけばいい」
「まだ未熟な若い管理職を支える頼もしい存在になればいい」
と簡単に言いますが、一度座り心地のいい椅子に座った人間から椅子を取り上げるのは容易ではありません
「面子に拘らず柔軟に生きるべき」
「プライドに拘る薄っぺらな生き方は捨てるべき」
と簡単に言いますが、年齢を重ねるとプライドは骨より硬くなり「プライドを捨てる」は骨を折るような激痛の人もいます
「役職から降りて若い管理職のサポートにまわる」ことを見事にこなしている人もいますが、人間が非常によくできた人で少数派です
「じゃあリスキニングで異業種へ・・・」などの気力は希薄です
人事でも「55歳定年時代なら役職下げずにできるんだけど、70歳まで雇用では若い人にどこかで譲るしかない」とぼやいています
「残るも苦痛・進むも苦痛」で精神科医の同級生も「50代の男性が年々増えてきた」と言います
「50代でうつ病になったら治らない」と言っていたので、特に男性は注意が必要です
プライドが高く騒いでいないので問題視されていませんが、静かに水面下で渦巻いているように見えます
社会に出た時と現在の状況の変化に翻弄されているのがX世代の苦悩のようです
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました