人事からみた採用とキャリアアップの実情

長年の採用・教育経験から新卒就活、転職、シニア転職、キャリアアップを企業側からの目線で情報発信していきます 

各年代層が抱えた問題

世代の空白

国家の指導者も間違った方向に国を導く場合もあります

どこの国にも黒歴史はあり、国民は忘れていません

ナチスユダヤ人虐殺は歴史で習いますが、1975年のカンボジアに誕生したポル・ポト政権の国民の大領虐殺ナチスの比ではないにもかかわらず歴史では意外に教わりません

当時のカンボジアの人口780万人のうち4分の1にあたる200万人がわずか4年間に虐殺されます

歴史上の人物でポルポトほど明確に「サイコパスだ!」と言い切れる人物はいません

原始共産主義という「原始時代の暮らしに戻そう」というポルポト政権の方針は知識層を絶滅させます

教師や弁護士、博士や研究者だけでなく「本を持って歩いていた」「メガネをかけていて勉強していそう」なだけで処刑していました

原始時代に戻すのだから都市は必要なく、都市の住民を農村に移住させ農業の重労働を課します

ポル・ポト政権はわずか3年8ヶ月で崩壊します

カンボジアの大学生は「40代以上に知識人や教育できる人がいない」と困り果てているといいます

人口の大きな空白地帯があるということです

陰が極まれば陽となると言いますが、彼らは「海外で学び国に帰って立派な指導者になろう」という強い志を持っています

この年代の大きな空白はカンボジアの発展に大きな障害となりました

人口ピラミッドの空白を考えてみます

 

世代の人口バランスは重要 

私は採用業務が長かったせいもありよく就職氷河期世代を問題視します

組織によってはその年代が極端に少ない場合があります

50代と20代ばかりのような組織もあり、明らかに歪な人口ピラミッドです

ロスジェネ世代とも呼ばれますが、就職したくても就職できず、働けない環境下を経験したロスジェネ世代は働けるありがたさを感じ、仕事に対して前向きに取り組む傾向にあります

厳しい競争世界で就職を勝ち取る必要があった世代だったため、人より専門的な高度なスキルや知識を身に付けることにも前向きに取り組むという非常に有り難い世代です

採用担当者から見れば「当時は縮小均衡でとても人員増などできなかった」というでしょう

この世代が大きくへこんでいる組織はやはり成長に問題が出やすいです

「最近の若い奴らは根性がない」と嫌ったり「若い世代に人気がなく採用できない」と採用力がなかったりで、Z世代がいない会社も後々問題が発生します

「最近の若い奴は・・・」ではなく、どうすれば戦力化でき定着してくれるかを考えるべきです

私の受けに行く社外講義の9割は「Z世代の採用と育成法」に関することです

先進国では世代が進むにつれて少しづつ知能も上がってきています

とにかく少子高齢化の日本ではZ世代は超貴重な存在だと早く気付いた方がいいです

この辺をよく理解している企業はZ世代に真剣にこだわっています

 

転職できない年齢になるまで飼い殺す 終身雇用制度の問題

終身雇用がガッチリ根付いてしまっているX世代も問題があります

多くの人事が「出世の天井が見えてしまった中高年のモチベーションが上がらずに困っている」

「なんとかモチベーションが上がる刺激を与えられないか」という問題意識を持っています 

出世以外にモチベーションを持てないような人事制度に構造的な問題があると言われています

X世代は人口のボリュームゾーンなので空白の問題はありませんが、モチベーションの問題があります

新卒で入社し、同期と切磋琢磨しながらゆるい競争をしてきました

終身雇用は40年にも及ぶ長いマラソンのようなもので、35歳~40歳くらいで出世に追い付けないくらいの差が生まれる組織が多いです

気が付くと転職が厳しい年齢になっていたりします

そう考えると「35歳転職限界説」「45歳定年が理想説」などはなんとなくわかります

ラソンなのでペースはゆっくりしており、レースが中盤にさしかかるにつれて集団が分かれ、最後は一握りの人たちだけがトップを目指して走り抜いていきます 

ラストスパートで追い上げ50歳で部長になっても「55歳で役職定年です」と言われヒラ社員に戻されたりします

「役職を目指して生きる」というものを原動力にして生きてきた人にとってモチベーションの上がらない時代になってきました

こちらはモチベーションの空白地帯です

理想的な人口ピラミッドはなかなか作るのが難しそうです

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました