評価はやる気に直結する
子供は親や教師が何を評価してくれるのか気にします
- 勉強ができる出来ないは重要
- 勉強を頑張っているアピールは重要
- 努力は評価してくれる
- 読書は奨励してくれる
などで、これは社会に出ても同じです
学生時代と違うのは給料をもらうのでより結果が全てになってきます
新入社員の頃は気づきませんでしたが
「稼いでくれる人のお陰で未熟な自分たちも給料がもらえる」
「稼いでくれる人たちに食わせてもらっている」
という現実に気づきます
「食わせてもらっているなんかカッコ悪い!早く食わせる方の社員にならねば!」と思うようになっていきました
2年目の夏に大きく成績を伸ばし、支店長に「やっと後輩たちを食わせられる社員になったな」と言われたのをよく覚えています
3年目の春にチーフに昇格し新任チーフ研修に出ると『2軍は徹底して型教育、個性は1軍で発揮』と言われます
「俺は一軍になったんだ!」なんとなく喜んでいると「もう会社は何も教えないよ!これからは自分で学んでね」ということだとわかります
『エデュケーションよりラーニング』だと何度も言われます
社会に出ると
- 努力は表面的には評価しているように見えて全く評価していない
- 結果が全て 稼ぐものが重要視される
とわかります
子供と同じように社員は「なにを評価してくれるんだろう!」と考えていますから、当然営業成績に注力して行動します
吉本興業の社長と秘書との会話です
「今何人芸人を抱えてるんや?」
「400人です」
「その中で自分で食える奴は何人や?」
「70人です」
「食えん奴を食わしてくれてるやつは何人や?」
「17人です」
組織とはこういう構造だということがよくわかります
人事の仕事では上位にくる評価制度
人事部や総務部などがある業務本部では採用企画部と教育企画部を経験し、業務にあたっている時は「組織は人という細胞で出来ているから人材の採用業務は重要な仕事」とか「教育次第で人は伸びるので、教育・研修の仕事は重要」と考えていましたが、人事系の部署の中ではさほど上位の仕事ではありません
人事の仕事で最も重要なのは『人材配置』いわゆる人事異動です
「支店長が変わったら一気に数字が伸びた!」などは何度も見てきました
あげるべき人間はどんどん昇格させ、結果を出させることがもっとも重要です
戦における将の配置で、重要な戦略になります
よくドラマで見るような、上司の腰ぎんちゃくのようになって能力もない人間が出世していくなどはありませんでした
企業は極めてシビアな目で社員の能力を測っています
次に重要なのが『評価制度』で何を評価しているのかになります
表向き頑張っている等のプロセスを観ているようなことは言いますが、結果が9割だと思います
バブル景気に沸いていた頃、自動車業界で唯一赤字だったスバルの社長は「テストドライバーの評価に重点をおく」という姿勢にシフトしたそうです
開発陣がいくら「これが正しい」といっても「ドライバーの言う通りに改良しろ!」を貫いたそうです
『評価者を誰にするかは極めて重要』と述べてましたが、それによって生まれたのがスバルの大黒柱のレガシーです
ついで「どれだけ優秀な人材を確保できるか」の採用と「その人材をいかに磨くか」の教育・研修になります
評価がわかりやすい仕事とわかりにくい仕事
最近何かと叩かれている財務省ですが、一番の問題は「財務省には業務がない」ということだと分析する人がいます
国土交通省なら「高速をつくった」や、文部科学省なら「こういう教育を導入した」とか、評価すべき事業があるのに、財務省には事業がないので「増税した」「支出を抑えた」などしか評価するものがないから増税に走るそうです
財務真理教などとカルト集団扱いされ「日本を停滞させた張本人」のように言われ気の毒に思います
30年間経済が停滞し、少子高齢化が進むのであれば『緊縮財政』に走るのが、経理部である財務省としては自然な行動です
会社に例えれば、商品開発や営業などには「ヒット商品をつくった」「いくら売上をあげた」などの評価しやすい業務があるのに対して、経理部などは「なにを評価基準にすべきかわからない」という部署です
評価が明確化しやすい部署と、明確化しにくい部署があります
おまけに「営業が強いと会社は伸びるが、経理が強すぎると締め付けばかりで会社が成長しない」などと言われたりします
評価基準が明確化しにくい部署の評価基準をどうつくるかが難題です
そして評価は社員に上下の区別をするものなので、乱暴に言えば格差をつけるものです
私は支店長としての営業の長を長くしていましたが、新入社員が配属されて最初の半年間に全然成績が振るわないと会社は「環境が悪い可能性がある」と転勤させます
2年間は「本人が努力しているのに環境が悪いせいで伸びない」というスタンスをとってくれますが、3年目からはシビアに扱われていました
支店長とすれば強烈な数字責任がありますので「稼げる人間に力を入れる」「数字を創れる顧客に時間を割く」という行動をとります
「稼げない人間を何とかしてやりたい」という気持ちはありますが、営業は掛け算なので「1の能力」より「100の能力」に9時間をかけた方が創れる数字は大きくなります
結果、稼げない人間の給料分も稼げる人間が埋めてくれます
優れた長になるほど人の見切りは早いです
弱者から見れば『強者はどんどん強くなり、弱者は置き去りにされる』と見えますが、情に流され原理原則を無視するわけにはいきません
「稼ぐ人も稼がぬ人も平等に扱う」というスタンスは組織を弱体化させます
テストや試験が学生に格差をつけるように、企業の評価基準も社員に格差をつけます
『誰がやっても結果はあまり変わらない仕事』であれば評価基準などいりませんが
『やる人によって成果が大きく変わる仕事』になると評価基準は重要になり、格差が開いていきます
評価の基準により社員の動きや熱量が変わり、会社の前進力も変わってくると思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました