人事からみた採用とキャリアアップの実情

長年の採用・教育経験から新卒就活、転職、シニア転職、キャリアアップを企業側からの目線で情報発信していきます 

時給1500円の世界

人件費はコスト 

「社員は会社の宝」

「社員あっての会社」

と言いますが、間違いではありません

ですが会社が大きな利益を上げた場合、株主と経営者に分配されます

社員はせいぜいボーナスが良くなるだけです

「社長なんてゴルフばかりしている」

「株主なんて株をもっているだけで働きもしない」

「汗を流して働いているのは俺たち従業員だ!最も利益を還元すべきだ!」

と感じたことはないでしょうか?

子供にしっかり伝えておいた方がいいのは世の中大きく富が分配されるのはリスクをとっている人になります

会社が倒産しても社員は会社の借金もしょわず、諸々の責任も取らず、とっとと新天地に移れます

お金を出している経営者と株主はそうはいきません

この人達はリスクを背負っているので大きな損害を被ることになります

大きな利益が出れば多くの富が分配されますが、大きな損失が出ればそれを背負わなければなりません

会社が苦境に立っても従業員の給料は変わらずに支給されますので、従業員とはリスクを取らない人』『会社運営の中ではコストの一つになります

コストである以上抑えるのが基本になります

値上げが難しい日本 

「人手不足だから時給を上げよう」「そのためには値上げをしよう」というのがセオリーですが、日本は値上げが難しい国のです

パスタには1500円でも払いますが、ラーメンが1500円だと「高い」と感じるようです

うどんが1500円となると「冗談じゃない」と言う感じですが、元のコストはあまり変わらないそうです

手間やコストというのはあまり知りませんので、消費者はイメージで高い安いを判断しています

お茶の生産量の三大産地は、静岡県・鹿児島県・三重県で、ブランドで観れば三銘茶は、静岡県の「静岡茶」、京都府の「宇治茶」、埼玉県の「狭山茶」です

ただコーヒーや紅茶にはお金を払うが 、お茶は水と同じでサービスでしょ?」というイメージがあります

佐賀県の南西部の嬉野市はやぶきたを主力品種とした「うれしの茶」があります

なんと一杯5000円でお茶を提供し、成功を収めています

山の上の茶畑を一望できる場所に「天茶台」をつくり、肥前吉田焼の白い茶器に注がれた煎茶を1杯5000円で提供し人気を呼んでます

本来、お茶はコーヒーや紅茶よりも高いものですがお茶はただというイメージでお金はとれないものでしたが、工夫次第で大きく単価が上げられます 

単価を上げる工夫が、最も無理のない人件費アップにつながります

時給1500円でどう変わるか? 

最低時給1500円について経済界の人達は

「人件費が高過ぎて人を減らそうとする企業が出て来て雇用が減る

「人件費の高騰で倒産する企業が出てくる

「その人件費で出来ないという企業には退場してもらうしかない

と様々な意見が出ています

時給1500円と聞くと今は高額バイトのように聞こえますが、実際どんなもんでしょう?

1日8時間働いて日給1万2,000円

20日間働いて月給24万円

12ヶ月で年収288万円

非正規社員でバイトなのでボーナスなしとして、税金をひかれると手取り233万円ほどになります

ひと月あたり19,4千円を手にします

家賃・光熱費・通信費・食費などを払っても半分くらいは残りそうです

「いまの最低時給では生活保護の方がまし」という声をたまに聞きますが、東京都の場合の生活保護給付がだいたい13万7円(税金や医療費などはかからない)で、時給にして考えると859円なので最低限の生活よりはずっと良くなります 

これだけの差があれば、セーフティーネットとしての生活保護の世話にならずに生きていくことができ、税金の投入も少なくなります

リクルートワークス研究所によると、賃上げは賃金を1%上げることで、応募者数は3.58%増加し、入社者数も約1.55%増加するとなり採用に明確な効果があることが示されています

一方で、既存従業員の離職防止に対する賃上げの効果は期待ほど高くないようで『離職率に対する賃金弾力性=賃金を1%上げることによる効果の大きさは+0.023』と効果が期待できない数値だということです

近い将来労働人口は30%減少するということは人事関係の人ならだれでも知っていることで「マシン化を進めたとしても、最低時給1500円にすることは避けられない」という見方が強いです

国が強制せずとも労働力のコストはどんどん高くなっていきそうです

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました