安い国、日本
私が社会に出た頃は「皆、日本への出張を嫌うんだよ」と言われ「なぜ?いい国なのに」と疑問に思いました
「滞在費が高いんだよ!食事やら生活必需品やら、日本に滞在してる期間は凄くお金が掛かるとぼやいてたよ!」
平成初期までは『高い日本』でした
コロナ前は年々日本を訪れる外国人が増えていました
「日本の観光資源が見直された!」
「おもてなしが良いんだよ」
「食べ物美味しいからね」
「富士山が世界遺産になったからだ」
といいように解釈していましたが、実情は日本の物価が安いからです
「同じ一週間の旅行なら日本が一番お金が掛からない」
失われた30年の間に『安い日本』になっていたようです
『食べ物が美味しい』『治安が良く安全』『何より物が安い』が日本の人気の理由です
『安い日本』は物価だけでなく給料も安い国になってしまいました
唯一横ばいの国、日本
給料が上がらないのに生活苦をあまり感じないのは、物価も変わらなかったからです
ガリガリ君が25年ぶりに10円値上げし、社長自ら謝罪するCMが世界的に話題になりました
海外の反応は「10円値上げでなんで謝罪するんだ?」
日本の反応は「潔い!変わらずに買おう」で謝罪なくば売り上げは落としていたであろうという見解です
うまい棒も12円となりましたが、42年間10円だったと驚きです
1991年を100とすると2019年の実質賃金は
イギリス 1.48倍
アメリカ 1.41倍
ドイツ 1.34倍
フランス 1.34倍
日本は何と1.05倍でほぼ横ばいです
1997年に比べ2020年の給料は
1000人以上の企業でマイナス 8,700円
1000人以下の企業でマイナス21,700円です
物価が上がらないデフレ状態だったので生活苦にはなりませんでしたが、ここにきて物価がじわじわ上がり始めました
さらに企業は利益を上げているにもかかわらず〈内部留保〉に廻し、人件費は出し渋っている企業が多いです
諸外国はなぜ給与が増えているのか
給料がアップする背景は国によって違います
アメリカでは「成果や実績をあげたら上司や経営者に給与上げろ!」と要求するのがごく自然な行為です
日本人はほとんどしません
アメリカ人はスキルが上がれば、それを他社に積極的に売り込み『転職で賃金を上げる』社会です
アメリカの賃金上昇の背景にあるのは『人材の流動化』です
いい人材は給与を上げないと逃げられてしまうので高収入です
従ってスキルアップや実績作りに必死です
転職で賃金がどんどん上がる人もいれば、上がらない人も多いので格差は拡大する一方です
ヨーロッパの賃上げは『産業別労働組合』が主導権を握っています
職種・職務ごとに賃上げを経営者団体と協議し、国によっては政府が関与していきます
決定した賃金は〈労働組合のない企業〉〈非正規社員〉にも拡張適用され、ジョブ型社会なので『法制化された同一労働同一賃金原則』により多くの労働者がその恩恵を受けています
これは日本にはない賃金を上げる機能です
韓国は日本が20年間で0.4%しか増えていないのに対して、43.5%も伸びています
ヨーロッパで導入されている『従業員代表制=労使協議制』が韓国で法制化されている効果が大きいとされています
賃金は上がっても高品質な製品を作ることにより収益を伸ばしています
日本は韓国のように『従業員代表制』を導入すべきだと主張する人は多いです
まずは社会の仕組みを変えないと「令和版所得倍増計画」もただの号令になってしまいそうです
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました