人事からみた採用とキャリアアップの実情

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中国を観察しながら年金の未来を学ぶ

中国の少子高齢化の四重苦 

先進国では多くの国が少子高齢化問題を抱えています 

その中でも中国の少子高齢化は四重苦といわれています

まずどこの国でも文化・文明が成熟すれば医療技術が進歩し、社会保障も充実し、食も豊かになり、人々も健康への知識が上がり長寿化していきます

もちろん健康・長寿は人類が目指していたことであり、喜ばしいことですが高齢者は増えていきます

次に子供は資産から負債になっていくということです

パナソニックの創業者である松下幸之助さんは7歳くらいで丁稚奉公に出されます

毎晩、母親を思い出して泣いていたそうですが、この時代は当たり前のことでした

当時は長男以外は早々に労働力として外に出され3人出せば蔵が建つといわれるくらい子供は資産だったようです

それが文化・文明が成熟すれば教育期間が長くなりますので、18歳から20代中盤くらいまで子供の面倒をみなければならず、子供は負債になっていきます

戦後には7人兄弟や8人兄弟などが多かったですが、文化・文明が成熟すると2人兄弟がスタンダードになっていきます

さらに東アジアでは結婚しないと子供はつくらないという文化ですから、結婚率が下がったり、結婚年齢が遅くなれば子供は減ります

日本も戦後間もない時代までほとんどの女性は十代で出産していましたので、その頃の兄弟は多いのです

現代の女性は「中学を出たらすぐに結婚」とはならないのです

加えて中国は一人っ子政策をしており、これが致命的です

定年延長 ・・・怒るのは若者?

中国政府は退職年齢を男性は60歳から63歳へ、女性労働者は50歳から55歳に引き上げました

主な狙いは他国同様年金の財源確保です

1960年の中国の平均寿命は約44歳でしたが、2021年には78歳となっています

建国以来、初となる本格的な社会保障制度の改革に迫られたことになります

長寿化で社会保障費増

子育てコスト&期間増で出産立低下 に加えて

一人っ子政策のツケが重なってきています

さらに「ゼロコロナ政策」による多くの企業倒産と不動産バブル崩壊による足元の不況が加わり「年金の財源が足りない!」となったわけです 

数十年にわたって一人っ子政策がとられた結果、中国では現役世代1人に対する定年者の数がすでに25年前の2倍になっているそうです 

一人っ子政策は2016年に廃止されたものの少子高齢化は止まる気配はなく、人口に占める高齢者の割合は主要国のうち最速のペースで上昇している 

さらに若者の失業率が高い状況なので定年延長は若者の仕事を奪っている!」と若い世代からは抗議の声が上がっているようです

日本の私たちはどうするべきか 

中国の少子高齢化はスピードが速いだけで、多くの先進国はこの問題に悩まされています

少子高齢化といってもまだ入り口で、私達はさほど実感はしていません

地域によっては「子供たちの遊んでいた公園が今は老人だらけになった」とか「ラブホテルが老人介護施設になった」などはありますが、街が老人であふれているという光景は見かけません

ただ「うちの旅館はあと20年もすると70代と80代の社員しかいなくなる」という会社はよく見かけます

「労働力と納税者は減るよね」

「どんどん長生きになるよね」

「結婚しない人増えてるね」

「小学校閉鎖になるらしいよ」

などとお気楽に話している状況です

寿命が延びているので年金支払年齢は遅くなり、労働期間は伸びていきます

「じゃあ企業は定年を引き上げればいいじゃん!」と気軽に言う人がいますが、よほど人手不足な企業でない限りシニアを雇うなら若者を採用したいと考えています

会社によって違いますが50代で役職定年、60歳で新入社員と同等のコストにしたいと考えています

「60歳で役職もなくなり、給料も半減した!能力も経験も豊富なのに!」と主張する人がいますが現実が見えていないと思います

新卒採用に苦労していない企業などは「正直定年延長などはしたくない」と考えています

初めて社会に出て、経験とスキルを身につけなければならない若年期の働き方

家族と部下をもち、責任も重い壮年期の働き方

伸びてしまった人生を何とか食つなぐ為に収入を得る晩年期の働き方

と3ステージありますが、これからは③晩年期の働き方がもっとも多様化してきて、格差も激しくなると思います

若い世代は今から考えておく必要があります

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました