人事からみた採用とキャリアアップの実情

長年の採用・教育経験から新卒就活、転職、シニア転職、キャリアアップを企業側からの目線で情報発信していきます 

待つ採用と攻める採用

嫉妬深い大企業の採用担当者

私が入社したのはギリバブルでしたので採用業務についた時は超売り手市場で、圧倒的に学生優位でした

最初の配属先は採用企画部の新卒大学生を採用する採用1課の東京採用本部が私の社会人としてのスタートです

面接に駆り出された総務の課長が新人の私にぼそっと言います採用の人って嫉妬深いよね

当時の課長はいかにも早稲田の政経出身という感じでプライドが高そうでした

当時の学生は引っ張りだこですからいろいろな企業の面接を受けています

「幅広い企業を自分の目で見て決める」別にしごく当たり前のことだと思いますが「うち以外にも志望している企業がある」が気に入らぬようです

お高くとまってる女性のようです

内定を辞退したいなどには嫌悪感をあらわにします

それが自社よりも小さな会社だったりするとなおさらです

生涯賃金で1億円は低い会社だ!」

「福利厚生だってうちの方が圧倒的にいい」

などと口にしていましたが、社風が合う場合もあるし、やりがいを見いだせたのかもしれないし、ましてうちのような全国転勤の会社は毛嫌いする学生も多いと思います

とにかく大企業の採用担当者はプライドが高く嫉妬深い人が多いです

攻めと待ちの2種類の採用がある 

採用業務と言っても大きく分けて2種類あります

超大手企業や人気職種のようにほおっておいても多くの学生が詰めかけて、選考に次ぐ選考で学生を絞っていく採用

これは待ちの採用』『さばく採用です

人気の仕事、憧れの仕事、ブランド力ある企業に多いです

私の会社もバブル崩壊後の買い手市場には、大学も上位校に絞り、1日45人面接しても選考合格者なしという日もありました

嫉妬深い採用担当者には心が潤う日々です

一方、積極的に採用活動しないと定数が採用できない会社の場合攻めの採用』『捕まえる採用になります

商売でも医者のように待ってれば患者さんがどんどん来て、いかに効率的にさばくかという商売もあれば、かなり積極的に動かないとお客様を確保できない商売もあります

こちらの採用担当者は採用業務は営業と同じなどとよく口にします

両者は同じ職種でもまるで違います

私の場合は現在は人気ない、定着率悪いの宿泊業の採用業務なので、このまったく異なる2種類の採用業務を経験したことになります

私の前の採用・教育マネージャーは「私の仕事は穴の開いたバケツに水を入れているようなものだ!」と退職しています

わたしは採用・教育とノルマがキツイ営業経験のセットが買われたようです

学歴信仰の現実 

フレンチの福料理長は調理師専門学校にランクをつけて「この学校を優先してほしい」と言ってきますが、ベテランの総料理長に言わせると「高卒がいい!身体で覚える仕事なんだから10代の方が吸収が早い!」と言います

「超一流の料理人のほとんどが中卒なんです!頭が吸収力のある柔らかいうちに実戦で学ぶのがベスト」

これはここ数年見ていて本当に若ければ若いほど料理人には良さそうです

「65歳まで働く現代では大卒と高卒の生涯賃金は1億円違う!」と言いますが、よく観てみると「Fラン大出身者は高卒より生涯賃金が低い」というデータがあります

学生だった4年間が丸々マイナスになっています

中国のような国家では「ここより下の大学は大卒とみなさない」とハッキリ国が言えますが、日本では難しいです

大卒の方が高卒より生涯賃金が多いというのも間違いです

少子高齢化で若手人材が不足している現在、高卒者の求人倍率バブル経済期直後以来の高水準です

文筆家の御田寺圭さんは高卒者の求人倍率上昇は、日本の偏差値至上主義的な世界観が終わり始めていることを示している

「『大卒でなければ社会人として務まらないというのは、人余りの時代に作られた神話だったのだといいます

去年1月、大学入学共通テストの会場となっていた東京大学前で受験生を刃物で刺傷した通り魔事件がありました

犯人は当時高校2年生だった男子生徒で、偏差値至上主義的な考え方にとりつかれて猛勉強して高偏差値の大学を目指すも、成績が伸び悩み自暴自棄になっての犯行だったそうです

この高校生曰く偏差値や学歴、職業で人を上下に見ていた部分があった と述べています

「とにかく勉強することはいいことだ!」「大学に行く方がいいに決まっている」という考えが摺り込まれ過ぎていたようです

一方で高学歴難民という問題もあります

大学院や博士課程まで出て引きこもりになってしまったケースで、親に言わせると「息子は学ぶ意欲はあるのですが、働く意欲はないんです」と述べています

いくら勉強するのが好きでも、社会性がないと生かせません 

学歴があればなんとかなるという慢心 には注意が必要です

子供は自立して一人で社会で生きれるようになるのが学習期の目的であって、とにかく知識を詰め込みまくるのがいいことではありません

そもそも日本の義務教育のレベルは高水準で、知識だけなら中学まででほぼ十分です

自立して生きれるのであれば、どの段階で学習期から労働期に移ってもいいと思います

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました

皆さん、良いお年を