人事からみた採用とキャリアアップの実情

長年の採用・教育経験から新卒就活、転職、シニア転職、キャリアアップを企業側からの目線で情報発信していきます 

新卒採用は徐々に困難になってきている

人材の質は企業の生命線

「今年の新人は豊作」とプロ野球のドラフト会議が盛り上がってますね

優秀な新人をどれだけ確保したかで組織の未来が決まるはどこの世界も同じようです

「まったく!うちにはろくな新人が入ってこない!」と嘆く企業もありますが、採用力の強弱は長い年月でボディーブローのように効いてきます

採用専門の部署や採用担当者がいる企業であれば、その社員の腕っぷし次第です

「うちの商品じゃ売れない」という営業マン

「うちの技術力じゃいい商品が創れない」という開発担当者

「うちの会社じゃ優秀な人材が来るわけない」という採用担当者

与えられた環境で戦えないのであれば交代すべきです

採用は大きく2種類あり、ほっといても学生に人気で多くの学生が詰めかけて、選考能力が重要な会社

ほっとくと良い学生が来ないので、営業のように積極的に動かないと学生を確保できない獲得力重視の会社

建設業・宿泊業・飲食業は求人が来ないうえに離職率も高いです

私は現在、リゾート部門の採用・教育ですから、宿泊業+飲食業の不人気2種目を担当させられていることになります

人手不足体質だとついつい「お手軽な中間採用」になりがちですが手間はかかっても新卒採用を行い、教育を充実して育成すべきという方針は長い目で見ればメリットがあると思っています

いい人材はいい企業に採られてしまうものでもない 

今になって思えば「社会に出たての頃の採用は、週休三日と高賃金を武器に楽な環境で出来たんだな」と思います

有難さは失ってからでないと実感できないのが凡人だとつくづく思います

入社と同時にバブル崩壊だったので「就職先大幅減で楽な採用活動になるかな」と甘い考えをもてば「これからは質の採用にシフトする」と大きく大学を絞っての採用になりました

中堅校出身の私は上位校がどんな就職感をもっているのか知る由もありません

世の中は相場で決まるということがわかり始めたのもこの頃です

同じ学校で、同じ能力で、同じような人柄でもバブルとその後では採用の相場は大きく違うと実感しました

学生からすれば好景気の人手不足の方が断然相場での価値が高いです

超優良メガ企業がやはり優秀な学生を獲得します

学生の採用戦線にはドラフト制はありませんので、人気不人気で応募してくる学生が違ってきます

そこで何とか工夫するのが採用専業の部署です

当時の部長・課長とも優秀なアイデアマンだったので、日本を代表するメガ企業とも遜色ない人材が確保できていたと思います

「どうせいい人材はいい企業に採られる」というわけではないのです

ただほっといても学生が詰めかける超大手と同じことをしていてはダメです

激しさ増す学生インターン争奪戦 

政府は2025年卒の大学生からインターンからの新卒採用を解禁しました

「5日以上」など開催する期間や、夏休み中などの開催する時期などの条件を満たすインターンであれば、インターン期間で得た学生の情報を新卒採用に利用できるように制度が変更されました 

企業側も独自の工夫をして

「学業に支障の出ないようにインターンを設計していて、リモートでも勤務できます」

「社名や会社の規模は関係ありません!伸びている業界に身を置くことをおすすめします」 

など熱意があって新しい取り組みをしています

新卒採用では学生有利の売り手市場が続いていることから、企業はより早い段階で学生と接点を持つため学生インターンの確保に力を入れ、就活の早期化が進んでいます

 ただ、就活を始めたばかりで企業・業界に詳しくない大学生は、インターンの希望先として大企業など一部の有名企業を選ぶ傾向がどうしてもあります

そのため知名度の低い企業はインターン生を集めるのが難しいのは事実です 

インターンの期間も1カ月の学生もいれば、1年以上働いているケースもあるので学生のニーズに柔軟に応えていく方向です

学生インターン募集をメディアに掲載してもほぼ応募がなく、やはり対面イベントなどで、事業の面白さや成長性、スタートアップの熱量について伝える方が有効です

採用力のある大手企業と同じ王道の手段では勝てない ので、スタートアップの長期インターンシップでは、大手とは違った実践的な経験ができるなど工夫をしています

将来的に起業したいと思っている学生はもちろん、大学生・大学院生にも広く興味を持ってもらえるように工夫をしている企業も多いです

土屋鞄製造所の採用担当者は

新卒採用はどんどん難しくなっているので、今後はインターンからの採用に力をいれていく 

「内定を辞退した学生の中には、超大手の人材企業やコンサル企業もあり、そうした企業と戦っていくためには、長期インターンに加えて、大学でのイベントでの働きかけやインターン生を通じたリファラル採用など今までとは違う戦い方をしないと淘汰されてしまうと感じています」 

と言います

マイナビの調査「学生就活モニター」によると、インターンシップ参加社数の平均値は2020年卒では3.6社だったが、2024年卒では5.2社に増加しているそうです

「超大手企業にはかなわない」の次の「だからしかたがない」「だからこうする」で未来の人材の確保が決まるような気がします

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました