シルバーが多い会社は増える
私が以前いた会社で地方の企業をM&Aした会社があります
最盛期は4支店ほどあったようですが、現在は本店のみで70歳以上がほとんどの会社です
その時に一緒に地域マネージャーをしていた元同僚Hから久々に連絡がありました
「シルバー社員の雇用などもろもろ聞かせてほしい」という内容です
なんせ一番若い社員が67歳で、最高齢は84歳ですから経験もしたことのないマネジメントをしているのだろうと予測できます
「皆、健康で勤勉で3年間休まれたこともない」
「明るく元気でよく働いている」
「顧客からも親しまれて信頼関係もしっかりしている」
「HPもなかったんだけど、彼らが苦手とするDXやSNSは俺がやればいい」
「問題は役職から降りるのを猛然と拒否してくる!29歳で部長になった人が84歳でまだ部長だ!」
と困り果てています
以前『シルバーキングダム』を書き綴ったことがあります
それとはまた違う会社ですが『面子』というものは想像以上に高い壁になりそうです
「一定の年齢で部長・次長・課長という管理職からは降りてもらうが、スペシャリスト・チーフスペシャリスト・シニアスペシャリストなどの役職を与えれば?」とアドバイスしましたが駄目だったようです
「お前の会社はいいよな・・・ドライに55歳で役職定年に持ち込めて!うちはやはり人は切れない社風なんだよ」と言います
反乱など起きたら彼に抑える力はなく、顧客も人についているので辞められたらやっていけないそうです
しっかり顧客をつかんでいる営業担当ほど強いものはなく、アメリカでも営業マンで収入の高いのは70代がかなり多いといいます
「まだ収めて間もない領地で、一揆などおきたら領主の首が危ない」という状況のようです
ドライな経営をする大企業と違い、ウエットな企業は家族的でよく見えますがチェンジがかなり難しのがわかります
面子という怪物
「30代・40代の部長を配属させたい!給料は変えませんからシニアスペシャリストになってくれませんか?」と誠意をもって話したそうですが「それだけは武士の情けということで」と返されたようです
いきなり変えると反発が大きいから徐々に変えていこうとした彼のやり方が裏目に出たといえます
彼自身「雇ってくれるだけでもありがたいだろう!さすがに60歳過ぎてれば役職は降りるだろう!」と考えていたのが甘かったと気付きます
Hも「ぬるい対応をしていると役職は降りてくれなくなる」という『面子』の恐ろしさを知ったようです
人口分布図は最も確実に予測できるもので、これは国だけでなく企業にとっても重要です
新卒で最初に入社した会社では人事企画課という部署が算出して、採用人数を割り出してきました
小さな会社が採用や教育に人員がさけず、気づいたらシルバーキングダムになっていたということはこれからは多いと思います
「国も今頃になって少子化対策とかやりだして遅いんだよ!」と言ってる貴方の会社の高齢化に対する対策は大丈夫?と考える必要があります
私の弟の会社もコロナが終息し新卒採用活動を活発化しましたが、35人必要なところを4人しか新卒採用できなかったようです
「初めて30人切った!しかも4人!急いで人員補充したが来たのはすべて50代」と地方都市では今後ますます若者の採用は苦しくなると実感したようです
ありがたかったS部長
自分事で考えると、初めて役職定年を実行したのが営業促進部のS部長でした
4年前に『70歳まで雇用は延長するが60歳からは時給制で、勤務時間出勤日数は本人の自由選択』ということで決まりました
私は企業買収後にい異動してきたので、過去の歴史はよくわかりません
60歳になったS部長に伝えると「俺が新制度の第一号なんだね!見本にならないとね」と語っていたのを覚えています
長らくM&A前の苦しい時代を支えていた部長ですが、清掃業務スタッフとして再スタートしてくれます
それでも社歴の長い人なので多くの社員が聞きに来ます
Sさんは「どこになにがあるか」「この問題はどの業者が解決してくれるか」ということを良く知っています
古来より物知りの村の長老は重宝されます
長きにわたり苦境を支えてくれた幹部社員にも関わらず快く役職から降りてくれ、嫌な顔をせずに若手のサポートはしっかりやってくれる
第一号のSさんが功労者でもありながら文句も言わずに降職してくれ、しっかり若い世代をサポートしてくれる姿勢を見せてくれたおかげで、その後の60歳正社員解除はスムーズに進んで行きました
元同僚のHの話を聞くにあたり「俺が第一号だから見本にならないと」というSさんには感謝の気持ちしかありません
影響力が強いSさんが「こんなに長い間会社に尽くしたのに、最後はひどい扱いだ!」と叫べば今の状況はかなり違っていたと思います
昭和入社のSさんは終身雇用で年功序列で務めてきたと思いますので、考え方のチェンジにはかなりの葛藤があったと思います
Z世代の労働期間は60年以上とも言われています
X世代も70歳超えても働く人は半分以上になると予測されています
企業がどこまで面倒をみれるかはわかりませんが、長くなる労働期間に昭和の常識は当間まらないのは事実です
過渡期である現在、役職定年後や60歳をこえてからの働き方はよく考えておいた方がいいと思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました