人事からみた採用とキャリアアップの実情

長年の採用・教育経験から新卒就活、転職、シニア転職、キャリアアップを企業側からの目線で情報発信していきます 

家柄重視から学歴重視・・次に来るのは・・

社会変化と人の価値

動物の群れでは1番強い動物がリーダーになります

人間社会も大昔は腕力が一番強いものがトップになっていたと思いますが、中世当たりの成熟した社会では家柄が重視されるようになります

家柄により進学できる学校や結婚相手が違ってくる時代がかなり長く続きます

ロミオとジュリエットの世界ですね

さらに社会の成熟が進み民主主義になってくると学歴が人の価値の中心になってきます

会社の募集要項が「高卒以上」と決められていれば、面接官が「良い人物だ」と感じてもはじかれてしまいます

民主主義は社会主義と違い非常に時間のかかるシステムで、昭和の時代では「女は短大でいい」「早慶になど行かずに女子大にしろ」などと言う親が結構いて、頭がかなりいいのにSランクの大学には行けない女性もいました

とはいえ、家柄など関係なく結婚出来て、どこの家の生まれでも東大を目指して官僚にもなれるという社会は非常に素晴らしいと思います

昔は選挙権は納税額で決まっており、今に置き換えるていえば大企業の経営者や役員にしか選挙権がないような社会でした

現在はジェンダー平等を問うところまで民主主義は成熟しています

 

学歴の次にくるもの 

学歴が重視される時代が長く続きましたが、これからは人柄が重視される社会にシフトしていきそうです

「こういう人とは一緒に働きたくない」

「こんな上司の下ではまっぴらごめんだ」

ハーバード大 出てるからってなんだってんだ!」

で、Y世代辺りから人間関係の良さが重視されるようになってきたように見えます

様々なハラスメントが取り締まられるようになったのもY世代が社会に出てからです

「学歴良くても、実績良くても、人間的に最低」は非常に人間的な価値の低い人になっていったのが平成です

学歴は数値化できますが、人柄は評価項目も幅広く、数値化もできないため評価基準があいまいですが、これからは大事な人間の価値基準になっていきます

こういう人と共に働きたいを人は求めるようになっていきます

『五福』の一つの幸福良い人たちに恵まれるという人間関係の良さ=心の幸せを表しているので、理にかなった方向だと思います

社会主義国の指導者は「民主主義はお金が掛かる」「時間もかかる」と批判しますが、少しづつ丸みを帯びて柔らかくなってくるのが民主主義だと思います

 

就職先を選ぶ基準も変わってくる 

一部のお受験の家庭を除き、大概は高校進学からこの学校に進学すればどのレベルになるのかを問うようになります

「この工業高校だとどんなスキルが身について、どんな就職先に入れるのか?」

「この高校だとどのレベルの大学に行けるのか?」

土木技術を学びたいのに商業高校に行ってもあまり意味はありません

企業に関しては終身雇用の時代は「定年まで会社がちゃんとあって、安定した会社がいい」という寄らば大樹の陰が価値観の中ではウエイトを占めていました

社会変化が激しく、先行き不透明な時代を生きていくZ世代はX世代とはだいぶ違う価値観を持っています

時代背景も、自らのキャリアを主体的に考え、自主的に開発していくキャリアの自律が求められ始めているからです

終身雇用は高度成長期の人手不足から『長期労働力確保』の為に企業都合で生まれた仕組みです

終身雇用もジョブ型雇用も時代背景から生まれた仕組みと言えます

変化の激しい新しい時代の流れに適応すべく、高い成長意欲を持ち、自信のキャリアを積極的に切り拓いていこうとするZ世代の学生たちが増えてきています

従って「〇歳ではこんなスキルが身についている」というのを学生に明示するのが必然で、私も入社案内のキャリアプランのページを年々増やしています

加えて入社案内に掲載する社員数も増え「5年後の自分」「15年後の自分」がイメージできるようにしています

入社後にブラック企業ではないものの成長できないから」という理由で早期離職する若者は約6割だそうです

学校選びと同じくここで苦労すればどのレベルになるのか?』は非常に重要です

「成長していると実感することで、働くやりがいを感じると考えるから」

「個人としての力をつけないと、今後の社会では生きていけないと思うから」

「成長できなければ、給料なども上がらないと思うから」

「ある程度成長できないなら時間の無駄だし、今後の自身のキャリアに響くため」

などという意見が多くX世代とは大きく違います

終身雇用制度の崩壊を受け、会社に頼らず自らのスキルやキャリアを磨いていく必要性や危機感がつよくあるのがZ世代の特徴です

「当社には成長できる環境があります」が採用活動をしている企業がアピールする点で、今の学生はシビアかつ正直な目で真偽を見極めています

今は成長しているけど、いつまでも成長するとは限らない

衰退産業から成長産業に乗り換える時代は必ず来る

成長できない企業に身をおくのは時間の無駄

労働所得一本だけでは危うい

という学生の変化を捉えていないと良い人材は確保できない時代になってきました

企業の大小や、伝統や、ネームバリューはだんだん重視されなくなってくると思います

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました