現実を受け入れる苦痛
「これからは衰退分野から成長分野へ労働力の流動が必要」
「変化が激しくなるのでリスキリング=学び直しが必要」
「労働期間が60年間になれば終身雇用は不可能」
「学び直して異業種への転職が何回か必要になる」
「終身雇用は経済が伸び続けるのが大前提で継続は難しい」
と多くの人事関連の人達は今後の労働市場の変化を説いていると思います
関連会社の人事部のベテラン社員がぼやいていましたが、この方はソフトに丁寧に説明する人としてよくできた方です
早期退職かリスキリングで他部署に異動の説明を非常に丁寧にしたらしいですが、説明会後のレポートに
「あなたの話を聞いていると気持ちがすごく落ち込みます!生きるのが嫌になります」
「失業者が増えて自殺者が増える社会がお望みなんですね!」
と書かれ古い社員に猛反発を食らったそうです
誠実を絵にかいたようなその人は「自分の説明の仕方が悪かった」と非常に落ち込みます
それをZ世代の若い社員が「日本人は安心・安全・安定を望みますが、部長はこれからの変化の激しい時代の安心・安全・安定をあれだけ丁寧に説明したのだから、立派に職務をこなしたと思います」とフォローしていました
Z世代がX世代を慰めるというのも面白いです
今後、新卒が定期的に多く入社してくる企業ではこのような場面が多くなりそうです
正論より真実より安心・安全・安定
また後日「永年雇用の企業もあると言ってましたが教えてください」ととある社員が尋ねてきたそうです
「万年人手不足で給料も上がらない業界が多いですよ」とアドバイスすると
「そもそも学校出た若い人たちが毎年ゾロゾロ入ってくるこの会社の企業体質が招いた悲劇だ!」と言われ言葉を失ったらしいです
『正論も真実もいらない!欲するのは安心・安全・安定だ!』ということのようです
そういえば以前NHKスペシャルで『中流危機』という番組が放送され「もう日本人は中流ではない!企業依存を止め学び直しを!」と主張したよくできた内容でしたが、多くの視聴者からバッシングを受け、NHKは放送料金値下げという事態にまでおいこまれました
『正論であろうと真実であろうと安心・安全・安定を否定するものは受け入れない』というのは国民病かもしれません
同じ話を聞いてもZ世代の反応は全く違ったそうです
「年齢と共に賃金が上がる仕組みはおかしい!最初から能力に見合った賃金が欲しい」
「リスキニングのカリキュラムをもっと増やしてほしい!成長できない!」
「他社でも通用できるスキルが欲しい!カリキュラムをもっと積極的に取り入れてほしい」
「退職金も最初から給料に組み入れてほしい!退職金までい続けるという人がいる」
全然不平不満の内容が違ったようです
Z世代の人事スタッフに聞くと
「私達だって安心・安全・安定は望んでますよ!ただ昭和の時代のそれと令和の時代のそれが違うだけ」
「社会民主主義から脱却して完全なる民主主義が理想」
「私達は60・20社会(労働期間60年・企業の寿命20年)を生きなければならないからキャリアに対する考え方も変わってくる」
「今までは敷かれた線路を走っていくのが良しとされたが、これからは道路を走るようなもので自由度は高くなった」
「昭和世代の悩みは北朝鮮から韓国に脱北した人の悩みの『えっ国が職業を決めてくれないの?自由に選べと言われても・・・』と同じ」などと言います
育った環境が違うとこうも思考が違うようです
日本人の気質を理解して取り組む
セロトニントランスポーターというものがあります
不安を和らげる働きをしますが、これが少ないと不安が強く非常に心配症になります
欧米人でセロトニンが少ない人は50%以下
南米・アフリカでは30%以下ですが
東アジアは70%の人がセロトニンが少ない
日本はなんと80.3%の人が不安気質になります
「少ない国はマスクの着用率に如実に表れている」と言う人もいます
故に日本の製品は壊れにくい
日本のスポーツ選手は良く練習をする
接客もおもてなしと言われるほど評価は高いです
準備能力や計画性も高く、仕事は正確なのが日本人の優れた点です
ただ「失敗しないことが満足」というところがあるそうです
悪く出ると未来を必要以上に不安視して自殺が多かったり、心配性で必要以上に保険に入ったりします
外国人が神社のお守りの種類の多さにビックリするそうです
不安気質の日本人にとって安心・安全・安定を揺るがすものはすべて害なのです
「給料は伸びずとも安心・安全・安定を得て働きたい」を希望する日本人は多いと思います
夏に生きてきた人が冬になり「厚着して手袋してマフラーして暖房費にもお金が掛かる・・・世の中狂って来た!」とぼやいてるだけかもしれません
今後は求人票にも『JOB型雇用』か『永年雇用』かを明記して行くことが必要になってくるかもしれません
多分その比率は50:50になるのではないかと思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました