人事からみた採用とキャリアアップの実情

長年の採用・教育経験から新卒就活、転職、シニア転職、キャリアアップを企業側からの目線で情報発信していきます 

本当に日本人の幸福度は低いのか?

「感じるもの」は測りにくい

「あなたは今、幸福ですか?」と聞かれても返答に困ります

「幸福です」と答えたところで「どのくらい幸福ですか?」などと聞かれるとさらに返答に困ります

感じるものは測る基準がなくわかりにくいです

「暑いですか?」「寒いですか?」などは気温と比例すると思われますので、まだ信憑性がありますが『幸福度』を測るのは難しいです

多くの国際調査で日本人の幸福度が低いことが指摘されていますが日本は不幸な国とは思えません

あえて言えば

・幸福を感じにくい気質

・プラスよりマイナスを数えがち

・満足度のレベルが高い

などだと思います

「自分のことを好きか?」などの部類の質問に対して、日本人は諸外国より極端に低いです 

IQは常に世界のベスト3に入っているので、自分を客観的に見ることは出来ていますから性格の問題では?」と思ってしまいます

幸福度は下がり続けている 

拓殖大学教授の佐藤一磨さんは最近の調査で、幸せな日本人の割合はこの13年で13%も下がっていることがわかったと述べていました

「そんなに下がってるの?」と思ってしまいますが、コロナウイルス蔓延をピークに、コロナの弱毒化と共に少しづつ上がり始めましたが、また下がりました

「昔と比較して日本は物質的には豊かになったが、心はどんどんすさんでいる!」などとマイナスなことを言う人は必ずいます

ただ国際的に見て私たちの幸せの水準も低く、下から3番目です

「南方系の人はとにかく陽気」「北方系の人は暗くなりがち」などともいわれますが、日本は北方民族でもありません

日本は世界第4位の経済大国であり、他国と比べても豊かな暮らしを享受できます

医療技術も高く、社会保障もしっかりしていて高い健康度から長寿の国です

治安の良さも世界トップ

町の清潔さも世界トップクラス

食事は種類が多く、安く、美味しい

四季によって移り変わる美しい景色

アニメ・漫画・ゲーム等の独特のカルチャーも充実

バブル崩壊以降の長い低経済成長や少子高齢化による人口減少、増加する自然災害、なかなか解消されないジェンダー不平等などの問題も存在していますが、日本に住むことの利点は大きいと思います

気になるのは、日本は働く幸せが世界で最下位ということです 

日本人の労働者は「勤勉」「協調性」「組織に忠実」「ルール厳守」なのですが、仕事から幸福度を感じるのは上手くないようです

気になる子供の幸福度の低さ 

2020年にユニセフのリサーチ部門であるイノチェンティ研究所が子どもの幸福度を分析した結果、日本は調査対象となった国の下から2番目でした

大人と同じく、日本の子どもも幸せを実感する割合が低いのには落胆します

ドイツ人の夕食を見ましたが「基本的に火を使わない」らしく、パンとチーズだけなど非常に質素です

日本の子供のお弁当を見て、ヨーロッパの人々が「なんて豪華なんだ!朝から親は重労働じゃないか!」とびっくりするほど日本の食は豊かです

アニメ・ゲーム・おもちゃ・本などのカルチャーも充実しています

なのに子供の幸福度は低いのは何故でしょう?

15~19歳の若者10万人当たりの自殺率を見ると、日本の値は7.5人で、これは調査対象国の平均よりも高くなっています

日本の子どもの生活満足度は相対的に低く、自殺率は平均よりも高いという結果になっており、日本の子どもの精神的な幸福に関する指標はあまり良いとは言えないようです

幸福度が低い理由は友達ができにくいが要因の一つのようです

社会的スキルについては、「すぐに友達ができる」と答えた15歳の子どもの割合を各国で比較してみると、日本はまた調査対象となった国の下から2番目でした

日本の子どもは交友関係を広げる面で課題があり、これが幸福度に影響している可能性も考えられます

「自分には長所がある」という点についても、調査国の中で最低となっています

日本の子ども・若者は諸外国と比較して、自分自身への満足感が低く、自分の長所にも肯定的になれない部分があるといえます 

次世代を担う子どもたちが自分への満足感や長所を認めづらいという社会環境にあるのは問題ですね

日本は現在さまざまな問題に直面するものの、経済力が高く、健康かつ安心・安全に暮らせる国なのに、幸福度が低くなりやすいという点はやや不可解です

京都大学の内田由紀子教授は、日本人の人並み志向が影響しているのではないかと指摘しています

 日本人は、他者と比較して人並みの人生を歩めているかどうかを基準とする傾向があるため、自分の幸福度評価が高くなりにくいと考えられるようです

SNS等で成功した一部の人が注目を集めるようになっており、自分と比較してしまうと、どうしても幸せを実感しづらい社会環境にもなっていますので、すぐに変えていくのは難しいかもしれません

拓殖大学政経学部教授 佐藤一磨さんは「今後の私たちの幸せの感じ方を変えていくためにも人並みではなく自分の尺度で物事を判断できるようになっていくことが重要となる」と述べていますが、全くその通りだと思います

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました