人事からみた採用とキャリアアップの実情

長年の採用・教育経験から新卒就活、転職、シニア転職、キャリアアップを企業側からの目線で情報発信していきます 

『自己責任』という呪縛

最近頻繁に聞くようになっいた「自己責任」 

株をやっている同僚が「もう年金がいくらに減額されても大丈夫!ETF(株)だけで生きていける」と言っていました

いわゆる4%ルールで十分な額に達したのだと思います

「人口の多い団塊ジュニアが高齢者になる頃は少子化とデットクロスして、年金なんてどのくらい減額されるかわかったもんじゃない」と本人は予測しています

20代の貯蓄額には大差がなく全員が少ないです

これが50代になると貯蓄額にかなりに格差が生じてます

子供の教育費の有無・節約の意識の差・収入の差などで何十年の間にかなりの開きがでてきます

(お金)は知のないところから知のある方へ流れていく

は経済学の時間に教わりましたが、知がないと搾取されるばかりです

搾取とは税金だけではなく、広告・CMなどで誘導されて消費してしまうものや、不安をあおられて必要もない保険に入ってしまうなど様々です

高額の老人マンションの営業をしているグループ会社の方も「老後格差ってすごいですよ!これからもっとすごくなると思います」と言います

株で経済的自立を達成した同僚も「俺は未来を予測して備えた」と誇らしげで、よく自己責任という言葉を使います

「人生はすべて自己責任だ」というスタンスです

 

「自己責任」が氾濫している 

確かに老後に備えて節約したり、投資したりいろいろ考えて行動し続けた人と、考えもせず行動もしない人は違います

何でもかんでも国や会社のせいにする人がいますのでそれ貴方の責任ですよ自己責任です!」と言いたくなるのはよくわかります

アリの生き方とキリギリスの生き方の違いです

勉強したしないで生じる学校の差

努力したしないで生じる結果の差

確かに『自己責任』なのですが、最近自己責任という言葉が氾濫しているように感じます

「考えていなかったあなたが悪い」

「やらなかったあなたが悪い」

という自己責任論で、たしかに筋は通っていますがすごく窮屈に感じます

以前は貯金の金利が高かった日本ですが今は無きに等しいので、投資にシフトするのは正しいとは思います

とは言え「国民の皆さん投資をしましょう!」と言っている岸田総理は1株も持っていません

言ってるだけでやってないんです

国のトップだってやってないのに「投資をしてない奴が悪い」といえるのでしょうか?

「それは自己責任」「これも自己責任」「すべて自己責任」ではひどく住みにくい世の中になってしまいます

「国が悪い」と息を吐くように言う人がいますが、お隣の韓国も中国も大学を出ても就職できない若者であふれています

私は採用責任者なので現状を良く把握していますが、今、日本は超人手不足です

とにかく国の方針は失業者を出さない』『必ず仕事がある状態にするなので過剰な条件を付けなければ就業できる状態です

採用をしている側からすると「人手不足状態を常に作っているんじゃないか?」と勘ぐりたくなります

中国・韓国などは「40代で仕事を探すと日雇いの仕事しかない」と聞きます

日本の労働法は人を切れないので給料の伸びはイマイチですが、定期的な収入があれば治安もよくなり、安心感があります

文句も言いたくなる政府ですが、感謝しなければならない点も多いです

 

リカオンの社会から学ぶ 

競争の原理で社会が発展し豊かになっていくシステム資本主義なら

誰も置き去りにしない自由で平等なシステム民主主義だと思います

社会主義の延長上に共産主義があるように、この二つの主義は矛盾していません

一方の資本主義と民主主義は相性の悪い組み合わせに見えます

子供に説明する時に困りますが、織物を織る場合まずは経糸をしっかり固定して貼ります

その張った経糸に横糸を織り込んでいき、これにより丈夫でしなやかな布製品が出来上がります

経糸資本主義』 横糸は民主主義だと思います

異なる動きのものを組み合わせることにより、強くしなやかな社会を目指せます

弱肉強食の世界の代表例としてアフリカのサバンナがあります

ここにはたくさんの肉食獣がいますが、狩りの成功率で見ると面白いデータがあります

最強の動物ライオンの狩りの成功率は30

最速のチータの狩りの成功率は50

リカオンという中型犬ぐらいの動物がいますが、狩りの成功率はなんと90だそうです

ライオンのような強さ、チーターのような速さはありませんが、持久力がずば抜けており相手が疲れきるまで追い回す戦法のようです

自然界では成人した動物が子供の面倒を見ることは普通ですが、年老いた動物の面倒をみることはありません

リカオンは年老いて動きずらくなった仲間やケガや病気の仲間の面倒もしっかり見ます

固い肉を噛んで柔らかくして与えたりするそうです

仲間を置き去りにしない社会は人間より民主主義な世界に見えます

これはやはり狩りの成功率の高さ故、豊富に食料がある社会だからのようです

資本主義がしっかりしているからこそ民主主義がさらに良くなる・・・

しっかり強く張られた経糸に横糸を織り込んでいく・・・

年老いたら・・・病気やケガで動けなくなったら・・・もう終わりという自己責任社会は普通かもしれませんが、リカオンのように自己責任など関係なく誰も置き去りにしない社会をつくっている動物もいます

自己責任という言葉の氾濫は豊かさに陰りが見え始めた前兆かもしれません

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました