人事からみた採用とキャリアアップの実情

長年の採用・教育経験から新卒就活、転職、シニア転職、キャリアアップを企業側からの目線で情報発信していきます 

裕福な国から貧しい国へ

近代日本の栄枯衰退

「日本は失われた30年から失われた40年に向かっている」

「安い日本」などいろいろ言われている日本ですが、日本は大きな壁を乗り越えて世界第2位の経済大国になったのです

大きな壁とは資源が無いことです

太平洋戦争は「アジアを白人支配から解放し大東亜共栄圏を創る」という一面もありましたが「植民地を持ってる国はいいな!資源がたくさん手に入っていいな!」という資源欲しさに戦争した面もあると思います

敗戦をした日本はモノ作りの国にシフトしていきます

「200円で仕入れた鉄鉱石を200万円の自動車に変えて商売する」いわゆる加工貿易の国です

メイドインジャパンは安かろう悪かろうの代名詞」とバカにされながらも世界一の品質を実現し、資源もなく焼け野原になった日本は世界の経済大国として成長していきます

平成元年には世界上位20社のうち14社が日本企業という状態でしたが、現在は35位辺りにトヨタ自動車は入る程度まで落ちぶれてしまいました

大きく下降した国は他にもあります

 

地上の楽園ナウル共和国って知っていますか

地上の楽園とまで言われたナウル共和国という国をご存じでしょうか

ナウル共和国の人口は12000人の世界で3番目に人口が少ない国で 通貨はオーストラリアドル

 国の面積は22平方キロメートルでこちらも世界で3番目に小さな国で、だいたい東京の品川区と同じ大きさです

1888年にドイツの植民地時代、ナウル島自体がリン鉱石でできていることが判明し大規模な採掘が始まります

貴重なリン鉱石の採掘事業は莫大な利益をもたらしました

世界大戦後にナウルは独立し、 さらにリン鉱石採掘の権利も外国企業から買い取り国営企業によって採掘を行い、莫大な収入がナウル国民に還元されるようになります

その膨大な収入によりナウルの人々の生活は激変します

なんと莫大な利益を生むリン鉱石採掘事業だけで国民を養うことができたのです

1980年には国民1人当たりのGDP=国民総生産は当時の日本の約2倍アメリカが1.5倍にもなりました

税金はゼロ

医療費、学費、水道光熱費はタダ

新婚には一軒家をプレゼント

労働は外国人労働者に任せっきりとなり国民は全く働く必要がなくなりました

・ついでに家事も国の雇ってくれた家政婦がしてくれるという始末

国民の1割の公務員で9割が無職という国民総FIRE状態です

これだけの福祉を実現しながらも有り余るお金

こんな毎日が日曜日という状態が30年続きます

30年というと日本の「失われた30年」と重なりますが、資源のない日本は知恵と努力で築き上げた経済成長でした

ナウルは国民の9割が肥満で3割が糖尿病という世界一の肥満&糖尿病大国になります

わかっていても人は変われない 

かつてのローマ帝国は強大かつ豊かな国でした

敵なしに強くなり、豊かになりすぎたローマは贅沢を覚え「額に汗して働く、貧しくともつつましやかな生活」に二度と戻ることができなくなりました

あれほど勤勉で勇敢だったローマ人たちは、怠惰で軟弱な民族と化し、やがてローマ帝国は滅びます

「スペイン動けば世界が震える」と言われたスペインも時代の覇権国家として君臨し、多くの植民地から「富」を略奪し豊かな生活を得ていました

この豊かさはスペイン人が額に汗して生んだものではありません

このような繁栄は長続きせず、国民の心を腐敗させます

100年と保たず植民地の富を食い尽くし、スペインは没落

現在、スペインもイタリアもデフォルト寸前です 

リン鉱石は有限なので当然限りがありました

ナウル政府も当然その時の為にアメリカ・日本・オーストラリアの株や不動産を買い投資で収益を得ようとしていましたが、全く知識もノウハウもなく 投資は大失敗して資金のほとんどを溶かしてしまいます

1990年代後半ナウル財政破綻します

元々は漁業や農業が盛んな国だったのですが国民は30年の間に働き方を忘れてしまったそうです

さらに労働意欲を取り戻すまでにもかなりの年月がいたようです

怖いのは染みついてしまった生き方はすぐに変えられないということです

日本は「失われた30年」と言われながらも勤労意欲は高いままです

勤労意欲を失ったナウルはまさに「失われた30年」と言えます

資源が無かったことは日本にとって全く幸運だったと言えます

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました