人事からみた採用とキャリアアップの実情

長年の採用・教育経験から新卒就活、転職、シニア転職、キャリアアップを企業側からの目線で情報発信していきます 

年金大丈夫??

「年金払いたくない」という若者

私の会社では入社式は一斉にやりますが、入社研修は全国各施設で行います

年金制度に不信感を持つ若者が年々増えてきているので、半義務的に年金の話も研修で皆しています

「私達の老後の日本では今のような年金制度であるわけがない!払いたくない」という本音も隠れているでしょう

「年金は大丈夫!破綻しないし、払っといた方がいい」という主旨で話します

「年金とはどのようなものでしょう?」

積み立てのようなモノ

 働いているうちはコツコツ積み立てて、働けなくなったらそれを取り崩していく

生活保護のようなモノ

 働けなくなったのだから生活できるように保護をする

保険のようなモノ

 老後のリスクに備える保険

最も多い回答は「①積み立てのようなモノ・・・」です

「毎月給与から積み立てている」という感覚からくるのだと思います

正解は『③保険のようなモノ長生きしてしまったリスクに備えるものです

50代で亡くなる人もいれば、100歳超える人もいますが、トータル支払金額は平等ではありません

本当に年金は破綻しないのか 

「年金は破綻する」

「老後は2000万必要」

など一時期騒いでいましたが「年金は破綻しない」「老後は53万円あれば大丈夫」などと発信され始めました

人は聞きたくないものは聞かない考えたくないものは考えたくないので「やれやれよかった」と安心します

教育研修責任者の間では「本当に大丈夫なのか?」「後になって『あいつの言ったこと信じなきょよかった』と恨まれないか」という意見が強くなってきました

小黒一正法政大教授によると財政検証には政府による数字のゴマカシの疑念があると言います

財政検証では、年金財政の健全性をチェックする主な指標として所得代替率という値を利用しており、現役世代の所得の何パーセントにあたるかという数字から算出され定義されているそうです

所得代替率が50%を割った場合、給付水準や負担のあり方を含めて、制度の見直しを行うことが法律で定められている重要な指標です

「モデル世帯」の年金額は上位2割の富裕層 で算出されており、所得代替率は「減少はするものの50%以上を維持」となり、政府・厚労省公的年金は今後も大丈夫と主張する大きな根拠となっているようです

小黒教授によると

「モデル世帯といいながら、一部の裕福な世帯を例に挙げて議論している」

「夫が終身雇用、妻は専業主婦」はもはやモデルではない

と言います

『モデル世帯』とされているのは夫は40年間働いたサラリーマン、妻は40年間ずっと専業主婦という世帯で、現実を見れば『モデル世帯』ではないことは明らかであると主張しています

雇用の流動化が進み、年功序列で定年まで働くケースは減り続けます

女性の社会進出も進み、共働き世帯が増えています

「夫が終身雇用、妻が専業主婦という世帯を『モデル世帯』とするのは、現実的に無理があり、もっと現実に即した『モデル世帯』を設定すべきです」と言います

政府の出している数字には明らかにカラクリがありそうです 

 

いくらで生活できるかが重要な能力 

Z世代は情報民主主義の申し子

大量の情報を精査し疑問を投げかけてきます

下手なことを言えば「うちの研修責任者はダメだ!」とすぐ見抜かれます

「安心できる言葉を誰か言って」という世代と違い

・年金はわからないように少しづつ減らしている

・政府を責める気はないが正確な数字が欲しい

・どう老後に備えるべきかの道標が欲しい

・自分の老後は年金は破綻しないが大きく減額される

という姿勢です

「うちの80代の祖母は畑で作った野菜を無人販売所で売り、月10万~20万の収入があるから、そういう人は減額すべきだ」

など受給者も一律ではない・区別すべきなども主張してきます

「国が『年金は大丈夫!破綻しない』など言うから、諸外国のように投資したりする人が少ない!正直に台所事情を話すべきだ!」

とういのが若者の求めるところです

年金制度がなくなれば、生活に困る老人が日本にあふれるので年金制度破綻はないと思います

ただ『お神輿型』で始まった年金が『騎馬戦型』となり肩車型となれば極端な話「若者の給与から3万円とって老人に3万円支給する」が整合性のある数字になります

消費税から廻したとしてもたかがしれてます

肩車時代になれば医療費も今のようにはいきません

「年金を払うから正確な支給額を教えて欲しい」

「ごまかさず、問題の先送りはやめて欲しい」

という主張は極めて真っ当です

国が無税のNISAiDeCoを設定したのも大きな意味があります

賢い人達が言ういくらで暮らせるかが最も大事「これは立派な能力」は非常に的を得ています

人口減少・貧困化・低成長などのネガティブな言葉をキャッチする割には行動を起こす方は少数派です

小黒一正教授は

・デジタル政府で適正かつ迅速な再分配を

高齢者向けベーシックインカムを新設

膨張が続く医療財政を微調整で安定化

教育改革で人的資本を拡充

を対策で上げています

「どこ・なぜ・どう」原因追及⇒分析⇒対策はもっとOPENにすべきだと思います

情報民主主義で育ったZ世代は多くが『議論し対策を考える』と思うからです

いつの時代も若者は進化した人類と考えた方がいいです

「前の世代がごまかせたから次の世代もごまかせるだろう」と思わないことです

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました