人事からみた採用とキャリアアップの実情

長年の採用・教育経験から新卒就活、転職、シニア転職、キャリアアップを企業側からの目線で情報発信していきます 

狡兎死して走狗烹らる

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優秀な人間も不要となる日が来る

私の仕事のパソコンには

狡兎死して走狗烹らる 

と貼ってあります

「なにそれ?」というものの読み方がわからないらしく、誰もググれません

先日来た同じグループ会社の採用教育マネージャーが「わかります、採用責任者としてよくわかります」と言っていました

「狡兎」とは、すばしっこい兎

「走狗」とは、猟犬のこと

「狡兎死して走狗烹らる=こうとししてそうくにらる」とは、中国の戦国武将・韓信が残した言葉です

すばしっこい兎を捕まえる優秀な猟犬はその優秀さから、すべての兎を狩り尽くしてしまい、用無しになり兎の代わりに煮て食われるということです

価値があるときは大事にされ、なくなればその存在は邪魔になる

優秀な軍師は敵国が滅びると、不要なうえに脅威になり殺される意味に用いられました

正確には『史記・越世家』に

飛鳥尽きて良弓蔵められ=鳥がいなくなれば良い弓も捨てられる

狡兎死して走狗烹らる=兎が死ねば猟犬も煮て食われる

と記されています

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ジョブ型雇用の核となる考え方 

支店長で好調な時、先輩支店長に

「このままだと顧客が疲弊して数字が作れなくなるぞ!」

営業は狩猟のように見えて農業だ種をまき⇒育て⇒収穫する」

と指導をしてくれました

私のような三流でも、目上に一流の人がいるからこそ何とか生きてこれたと思います

私は母が具合が悪くなり「中学卒業以来出ていた実家に戻ろう」と決意しました

その際

・もう転勤はせず実家を守る

・営業部長の地位は捨て若い世代に譲る

・自分のキャリアの営業・企画・採用・教育では採用業務で勝負する

と決めて、つては頼らず自力での転職活動でした

自分の下の世代は就職氷河期世代でしたので

・つきたい職位には就けず

・本来つくべき役職には就けず

・扱いが悪く、人間関係も悪い環境で病む

という姿をずっと見てきましたし、日本型雇用の〈終身雇用〉〈年功序列〉は排除すべきとずっと思っていました

就職氷河期世代は前々回も書き綴りましたが団塊の世代(当時50代)の雇用を守るために若者を犠牲にした不幸な世代です

長きにわたり悩まされた日本の雇用システムから生まれた〈ぶら下がりおじさん〉達への反発もあり「ジョブ型雇用」で就職すると決めていました

観光業界に絞ったのも〈人不足&定着率悪い〉からです

観光業はもはや自動車業界・化学に続く第三の柱となっており、成熟産業ではなく成長産業です

ここで「人手不足を解消する採用力」「教育に力を入れ定着率を飛躍的に改善する」に腕を振るおうと考えました

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若者を犠牲にする世界に未来はない 

大手企業でしたが面接のとき

・転勤はしない

・新卒を採用し派遣社員90人を0にする

・教育研修で定着率を改善する

・中間採用するなら就職氷河期世代

・役職定年を設けるべき⇒若者の成長の阻害になる

・成果が出なければ契約解除してもいい

と伝えました

自信のほとんどは根拠のない自信と言いますが、まさにその通りです

けっきょく成果主義契約社員ではなく、正社員でマネージャーとして採用してくれました

採用で人手不足を解消し、教育で定着率が良くなり用済みで良いと思います

こちらは『実績』『スキルアップ』が得られ他に移ればいいことだし、そのスタイルが世界のスタンダードです

最近の若者はこのジョブ型雇用を支持しています

優秀な猟犬になり、煮て食われる前に他へ移る機動力を持つ・・・がこれからのキャリアプランであると個人的には思います

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました

4方向から支えられて安定する

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人は支えられて生きている

「人」という字は支え合っているカタチ・・・・ではなく

大地にしっかり二本の脚を置き踏ん張って立っている姿を表しているそうです

とはいえ他者の支えが無ければ生きていけない社会的動物なのは間違いがありません

おぎゃ~と生まれてから今日まで一人で生きてきたという人はいないでしょう

「個人の能力・頭脳・体力」が勝るより周りに支えてくれる人が多くいる方が幸福だそうです

石器時代と違い、現代は群れに属さぬとも生きてはいけますが間接的に誰かのお陰という部分は必ずあります

ごくまれに山奥で一切の文明の利器に頼らず一人で生活している人がいるかもしれませんが、赤ちゃんの時から独りで生活していたわけではありません

(たぶん)道教から発生した考え方だとは思いますが人を支える4方向について考えてみたいと思います

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4方向を見つめ直してみる 

縦方向は上下関係で、北は目上の場所・南は目下の場所

横方向は対等の関係で、東は同僚の場所・西は補佐役の場所

と見ます

北=目上の場所
親・先生・指導者
上司・先輩・神様
西=補佐役
東=同格の者
配偶者・秘書
兄弟・友人
 サポート役
同僚・同級生
南=目下
子供・孫
部下・後輩

子供時代は圧倒的に北=目上が多いです

親はとにかく食事を与え、肉体を作ってくれるなくてはならない存在です

自分に知恵を授けてくれる人指導して能力を伸ばしてくれる人がここに位置します

親も亡くなり、会社でも自分を指導する人がいなくなる・・・いわゆるてっぺんに到達して目上がいなくなったら良書を読むなどを必ず行い、北側のエネルギーを補充するべきと言います

読書家は北方のエネルギーに満ちた人と言えそうです

逆の南=目下は年を重ねれば増えてきます

「上には受けがいいが下には嫌われてる」などは南方のエネルギーが不足していると言えそうです

目下へは心服』=心から敬服されることが最も理想で「この人の為なら」という部下が多い人や「お父さん大好き」と子供に想われていれば南方のエネルギーに満ちた人といえます

南方のエネルギーに欠けた人は〈上から目線〉〈説教〉〈自慢話〉の多い人が目につきます

東=同僚は同格の存在で、兄弟や友人、学校の同級生、会社の同期入社を表します

東という字は、日が昇り始め木からその光が漏れている姿「木」と「日」を組み合わせた文字で、物事のスタートや学校・会社などの活躍の場所を意味します

兄弟がいなくとも兄弟のように仲の良い友人がいればいいようです

兄弟仲がいい人は社会で活躍できるといいます

友人は一緒に遊んだり語り合ったりもしますが、時に競い合いお互いを高める存在にもなります

兄弟が多い・友人が多いではなく、その質の高さが大切のようです

西=補佐役は配偶者や秘書(みたいな役の人)など自分をサポートし支えてくれる特別な存在と言えます

友人・同僚に比べ、ここは一人か二人です

サポート役の有無やサポート力でここのエネルギーは決まります

誰にも自分の心を見せない人はここのエネルギーが弱くなります

この4方向に支えられて人は活躍ができます

もちろん人により偏りがあります

目上=親が愛情深く立派・優れた指導者に鍛えられた・上司に恵まれた

目下=良き部下に恵まれ慕われた・子供との仲が良い

同僚=良き友人・良きライバルがいる・兄弟仲が良好

補佐役=配偶者に恵まれた・素晴らしいサポート役がいる

あまり意識したことはないかもしれませんが、時に見つめ直し「感謝」と「敬愛」の念を持つことも大切だと思います

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東洋の五行説は面白い

自分は中央で他者を東西南北に置き換える東洋の五行説は面白いです

日が昇り沈む東西は現実を表し、南北は精神を表します

東は日が昇るスタートの場所で現実のスタート若さを表します

東の色はなので「青春」や「まだ青い奴」などの言葉がここから生まれます

西は日が沈む場所西方浄土なので「安堵できる場所=家庭」などを指します

東の人物は「自分を活動的にしてくれる存在」

西の人物は「自分に安らぎを与えてくれる存在」でなければなりません

西の色は『白』で終わりを意味しますので「白旗をあげて降伏」などに使われたりします

南は精神のスタートで幼さを表します

南の色はで「赤ちゃん」生まれ変わりを意味する還暦は『赤を身にまとう』などで風習が残ります

現実的に「そんなことも出来ない・知らないのか」を青恥

精神的に「いい年して未熟すぎる」は赤恥と言うそうです

北は精神の高み・終わりを表します

北の色は『黒』でお葬式に使われる白黒の色は「精神と肉体の終わり=北と西の色」からきています

東洋の知恵も西洋に負けず劣らず面白いです

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました

日本の職場環境は〇か✖か?

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大いなる和の国・・のはずが

リゾート部門の採用・教育の仕事になってからは、様々な国の出身の社員とも接しますが、総じて日本人の評価は高いです

・ちゃんと並び順番を守る

・争いごとが少ない

・勤勉

・時間を守る

・清潔

ただ時間が経つと少し変わってきます

・時々疎外されているように感じるときがある

・言葉に出ないが嫌な顔をする時がある

・忙しそうで余裕がない

・雑用が多い

など感じる社員が出始めます

協調的で平和的だが何考えているかわからないと言われたこともあります

転勤や配置転換はかなりしましたが「自分の職場の人間関係は他社と比べてどうなのか?」とわかるほど転職の経験はありません

当然海外の人間関係など全く知りません

日本の職場環境は良いのでしょうか?

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驚くほど悪かった日本の職場環境 

沢渡あまねさんによると

国際比較調査プログラムの調査では日本の職場環境は37ヶ国中37位だそうです

「ギスギスして働きづらい」

「人手が足りない」

「的外れな支持を言う上司が多い」が主な要因のようです

世界的なオフィス用品メーカーのスチールケース社の世界20ヵ国1万4903人の「会社への帰属意識・愛着・誇り」などの調査では職場環境満足度最下位でもっとも職場環境に不満を持っている国のようです

「仲良きことは美しきかな」

「大いなる和の国大和」

の民族のはずなのに・・・最下位の人間関係とは

世界の労働者の退職理由は

・仕事内容がやりたいことと違う

・給料が低い

・労働時間や休日数

が多いようです

日本の場合、企業の多くを占める中小企業で見ると人間関係が非常に多いです

もちろん上司だったり、同僚だったり、かなり人によって違いますが日本の職場の人間関係はよろしくないと言えます

求人票や入社案内では人間関係は表記されておらず、会社説明会でも「人間関係はどうですか?」はさすがに聞けません

「会社にやってほしい教育・研修」のアンケート項目にも「管理職の人間性の教育」など書いてくる人がいたりします

「能力やキャリアだけで上司にしないで!人間性もちゃんと見て!」と注釈がついていてビックリしたことがあります

世界最下位の人間関係の国とはなんとも不愉快な結果です

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長く勤めようとする気満々が弊害か 

海外での就職はプロジェクトに参加するという感覚が多いです

「自分のスキルを買ってくれたからしっかり発揮しよう」

「ここで新たなスキルを身につけてステップアップしよう」

「自分のスキルが用なしになれば切られる」

「身につけたスキルと実績で次の会社はもっと高収入の契約をする」

など一つの場所で長く過ごすという発想がありません

「いずれは出てくし」と考えればさほど相手の人間性など気にならず、気になるのは自分のスキルレベルです

長く定住しようとなると周りの人間は気になってきます

海外の大学を出た新入社員のキャリア面接もしてみても

「自分のスキルはどんなレベルか」

「自分のスキルは他で通用するか」

などを常に気にしています

日本人でも上級を狙う調理師やスペシャリストはこのような考え方をもっています

上長がぬるいと「自分のスキルアップができない!」と不満を持ったりします

ただ、日本も終身雇用・年功序列はだんだん消滅しジョブ型雇用』『能力・成果主義にシフトしていくので、人間関係にさほど気をまわす神経もなくなってくると考えてます

高度成長期は素晴らしかった日本の終身雇用・年功序列の雇用システムも時代に合わなくなり「ぶら下がりおじさん」「心は昭和を生きている上司」など若手の成長の阻害になっているケースが多いです

自分が採用しているのでひいきして言うのではないですが、Z世代は優秀かつバランスの取れた思考の人間が多いです

つまらぬ職場環境の悪さで若者の成長を阻害することはあってはならないと思います

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました

 

若者を犠牲にしたツケ

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とある団塊の世代の懺悔

元人事部長が65歳で定年となり二人送別会をした時の談話です

60歳で部長からは降りてスペシャリスト職として過ごしていましたが、非常に悔いの残る人事部時代だったと言います

日本は若者を犠牲にして団塊世代の就労を守った

「これは非常に罪が深い」と言います

ここでの若者は就職氷河期の世代を指します

多くの企業ではこの世代が極端に薄く、20代と40代後半以降の世代しかいない会社もあります

これを二世代同居型企業と呼ぶようです

各世代を定期的に新卒採用していくのでバランスの良い進化ができたのが大企業の強みでした

バブル経済崩壊後から10年ほど経つと日本経済は本格的に金属疲労したような状態になり、金融不安、ITバブル崩壊によりさらに景気の悪化が進みました

就職氷河期世代とは、社会的に就職難となった時期で1990年代初頭〜2000年代半ばを指し、1970年〜1984年に生まれた世代が大学を卒業して就職活動時期に差し掛かった頃です 

私も当てはまりますが90年代はまだまだ経済は元気でしたので、自分の会社の大卒採用も120~180人と普通に採用しているイメージでした

2000年代の就職氷河期は比べ物にならないくらい深刻です

大企業に就職していれば、課長・部長で活躍していたはずですが「行きたい企業には行けず」「つきたい職種につけず」「本来昇進できるはずの役職に就けず」の世代と言えます

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情の管理は出来ても知の管理できず 

元人事部長の話では、20代の社員達から「ITシステムを導入して欲しい」という声が上がったそうです

その時圧倒的ボリュームゾーンの50代の社員から猛反発を食らったそうです

多分本音の理由は「定年まで安泰に過ごしたい!余計なことをしないでくれ」の反発だと言います

あの時、就職氷河期世代が多くいて若手社員と連動していれば、50代は適応に苦労しただろうが仕事は非常にスムーズになったと悔やみます

私も同じで、営業部長時代に若手社員より営業の手法の大幅改善案を提案されましたが「実績を上げてるのは我々だ!我々に合わせるべき」と50代の社員に反対され導入しませんでした

「お互い三流のリーダーだったね」と猛省します

#50代

#男性

#大卒

#管理職

この属性を守るために若手を犠牲にした時代と言えます

好きな仕事には就けず

人件費が重くのしかかってる状態の会社は人を大切にせず

この世代の若者は仕事に情熱を持ちずらかっただろうと思います

「入社しても3年持たない」

ニートが多い」

「親にパラサイトした生活をしてる」

すぐ辞める・ニート・パラサイトシングル・・・こんな言葉も生まれます

団塊の世代は「最近の若者はだらしない!」と口を揃えて言います

これもすべて「若者を犠牲にして50代を守った結果」が今の日本です

日本人は良くも悪くもウエット、欧米は良くも悪くもドライ

「給料高く、環境に適応できない世代は切り捨てて、給料低く環境適応力のある新しい世代に切り替える」ということが出来なかったツケが廻ってきているようです

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若者を犠牲にする国に未来はない

自分のいた会社はどうだったか・・・・

・降職基準を設け自分たちにも役職が廻ってきた

・新卒の定期採用はしっかりしていた

・ある程度年功序列である程度実力主義のバランスの良さ

新卒で入った会社はまずまずでした

「降職なんてひどいシステムだ!」

「企業に悲劇が起きるぞ!」

と組合を介して抗議する団塊世代に会社は聴く耳を持ちませんでした

社内的には評価は悪い降職システムですが、外部の取引先からはしっかり世代交代ができていて安心できるという評価でした

元人事部長も「周りの同年代は『子供が大学生』『住宅ローンがある』『親の介護もお金が掛かる』『妻は専業主婦』で、彼らの生活を守らなきゃ!という想いが強かった」と言います

それでも「若手に役職を譲るために降職し、多すぎる賃金は減らすべきだったし、きちんと適性の人数を採用すべきだった」と悔やんでいました

「中小企業はその必要はないけど、大企業の50代は明らかにもらいすぎ!彼ら一人の給与で新入社員が3人雇える」とも付け加えていました

若者を犠牲にして成り立つ国に未来はないと言えます

日本の組織のウエットな運営は良いものと信じていましたが、そこには多くの犠牲者がいたということのようです

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました

学校への線引きをなぜするのか

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学校差別はよくない?

入社式までカウントダウンの時期になると学生とはかなり親密になってきます

就職活動の所感・・・というより聞きたいけど聞けなかったことをこの頃は聞いてきます

その中でよく「大企業ほど学校差別をする」

「社会人は学力が全てじゃない!人間力だ」

「いい人材はランクの低い学校にも多い」

という声は多いいです

要は入社選考は平等に行うべきだ!」という意見です

「すごく熱意をもって入社志望しているのに選考すらしてくれない」についての意見を求められることがあります

個人的には就職は恋愛と同じという考えです

学生は「入社したい」企業は「是非来てほしい」という相思相愛が理想です

志望度が高い=愛が強い人間は活躍することが多いです

これは企業の若手採用担当者もほぼ同意見ではないでしょうか

若い頃は〈矛盾〉〈不条理〉〈不平等〉〈整合性のない結論〉に反発が強いです

私もそうでした

学生と同じように若い採用担当者も疑問を投げかけていると思います

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企業は計算で結論を出している 

入社5年目ともなると『来季の採用方針』の打ち合わせに呼ばれるようになります

来期の採用人数は〇〇〇人

来期の採用費は〇〇〇万円

ここは動きません、そこから選考へは何人、説明会は何回するか、入社案内は何部作るのか・・・などが割り出されていきます

面接に駆り出せる管理職は限界があります

面接できる学生の人数は限りがあるのです

となるとどこかで学生に線引きをしなくてはなりません

企業の決定はすべて計算で成り立っているのです

「すべての学生を平等に扱うべきだ」

「学校名で差別などするものではない」

というのは考え方であって計算ではありません

当然経済状況に左右されます

「今年は買い手市場だから学校はここでラインを引こう」

「今は売り手市場だからラインを広げよう」

は当然あります

採用も相場で動いているのです

人は〈人工的差別〉を嫌います

これは採用担当者も同じだと思います

学生に言いたいのは差別と区別は違うということです

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学生も企業差別をしている 

「大企業しか考えてない」という学生も企業差別をしていると言えます

私は大企業も中小企業も経験しましたが、どちらも良さがあるし、むしろやりがいなら小さな組織の方がいいと思います

徹底的に競争で鍛えられたのが大企業時代

自分の役割が大きく仕事が面白かったのが中小企業時代でした

私の場合は大学を出るときが好景気でしたので〈選考対象が広かった時期〉でした

普段採用しない大学の採用をした6年間なので「谷間の6年」いわゆる上位校が取れなかった6年間などとも言われていました

会社としては不本意な学校からの採用だったと言えますが、入社後は別に学校差別をされるわけでもなく、実績のみで評価・昇進していきました

評価が平等なら不満はありません

逆に出身校で昇進が決まるという企業もあまり聞いたことがありません

企業に入ってしまえば〈出身校のブランド力〉など、どんどん色あせていき、実績がどんどん濃くなっていきます

企業の求めるものは「難関校の出身者が何人いる」などより「今年の実績」なのです

学生は点数で線が引かれ、社員も実績で線が引かれ、感情・感覚でなく数字での線引きなら平等な社会であると思います

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました

 

学校の授業に金融教育導入

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高校の授業に金融教育導入

2022年4月より高校で金融教育の授業が始まります

お金についての授業がカリキュラムに組み込まれるわけです

日本人はマネーリテラシーが低い!経営者でさえも米国の高校生に劣る」などとも聞いたことがあります

「お金は汚らわしいもの」という謎の清潔感があり、私の子供の頃は貯金金利が7%でしたので「貯金しとけば間違いない」という貯金神話がありました

投資などのリスクを恐れる気質も強く「株で大損した」「騙されて財産が消えた」などネガティブな情報をキャッチしやすい人が多いような気がします

故に労働市場に自分という労働資本を投資する=従業員として生きるしかお金を増やす手立てはないと思い込んでいる人が多いと感じます

・寿命が延びて100年時代になる

・年金はかなり厳しくなると予想される

・新卒で入社して最後まで終身雇用は不可能

ようは就職した企業が一生面倒みてくれ、退職後は国が年金で面倒をみてくれる」というシステムは維持できなくなったということです

諸外国は人生は自助努力という意識が強く、日本人だけが「国が・・」「会社が・・」という依存度が高かったと言えます

これが世界の常識・標準=人生自助努力に戻っていくということです

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考えなくてよい時代が長かった 

私が社会に出た頃はバブル経済の崩壊後とはいえ、昭和と何ら変わらない様子でした

ただ日本経済の先の先を見ている経営者は違います

入社式の社長基調講義ではケネディ

国家が諸君の為に何をしてくれるのかではなく

諸君が国家の為に何をなしうるのかを考えよう

でした

「もう今までのように国や会社に依存していると生きていけないよ!自助努力で乗り切る人生になるというありがたい警告を述べたかったようですが、教養のない私は今頃理解し始めます

大学の経済学の授業でも

富は知のないところから知のある方へ流れる

というありがたい法則を伝授されてますが、三流の学生の私は理解できませんでした

稼いだお金の三分の一源泉徴収というシステムで搾取され『手取り』というカタチで所得を得ます

その手取りの10%は消費税で搾取され、家賃は不動産資本家に搾取され、車をもてば多くの税金、ガソリンの税金は国に、駐車場代は資本家へ流れていきます

病気のリスクのない若者から「もし病気になったら・・」と不安をあおり保険会社にも毎月お金を搾取され、まさに知のない自分は知のある人にお金を流していると気づくまでには多くの月日を要しました

知のある人=国家・資本家・大企業経営陣

知のない人=自分

江戸時代の農民は人口の85%で50%を年貢で搾取される・・・・

この社会の仕組みは今も変わらないように感じます

高校で始まる金融教育は資産形成についての内容がしっかりと盛り込まれているようです

つまり投資と言うと「リスクがあって怖い」「ギャンブルと同じ」という歪な考え方を正しい知識で教育してくれるようです

金融教育なくしてこれからの社会は生きていけないとの判断のもとに導入したようです

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知識を増やし依存を減らす 

金融教育の重要性を国や社会が一人一人の生活を守れる時代ではなくなってきているからと説明しています

Z世代などは「国の財務状況の悪化や少子高齢化市場経済の縮小を見てれば当然だと思う」という考えが強く、意外に腹に落ちています

資産形成という自助努力は必須と深く理解しているようです

「国は何とかしろ!」「会社は冷たい」などの依存度丸出しの世代を冷ややかな目で見ているようです

先日、会社で面白いことを言われました

「マネーリテラシーを簡単に測れる方法知ってる?」

わからないから教えを乞うと

S&P500を知ってるか否かだそうです

「なにそれ?聞いたことない」は至急金融知識の勉強を勧めた方が良いとのこと

モチベーションアップのビジネス本を皆よく読んでいますが、それよりも金融知識の方が重要なように思えてきました

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました

 

風化しない企業理念

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自社のカラーを語れますか

毎年新卒用の入社案内を作成しています

その時に一番苦労するのが入社案内の見開きに来る言葉『コンセプト』『理念』『キャッチフレーズ』などの

「どんな会社?」

「何を目指しているの?」

「この会社は何のために存在しているの?」というスローガンのようなものです

私は採用の総責任者なので頭を痛めながら無い知恵を絞って、いつも考えてます

皆さんは自分の会社を学生に向けて表現するならどのような言葉を使いますか?

「夢を創造する」「未来に躍進する」「豊かさを追求する」など〈夢〉〈未来〉などを含むキャッチフレーズが多い気がします

キャリア採用(中間採用)なら給与などの待遇面と仕事内容を明示するのがメインになりますが、相手が初めて社会に出る学生となると企業の道標が大事になってきます

中学3年生・高校3年生・大学4年生に〈短く〉〈わかりやすく〉〈共感を得る〉言葉というのは意外に難しいです

 
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「子供たちに青空を」

本田技研の入社案内を見て驚きました

子供たちに青空を

「まだこのスローガンが使われているんだ!」と思うと同時にブレない企業姿勢に敬意を覚えます

昭和40年代と言えば目覚ましい経済発展と同時に〈公害問題〉が深刻化していた時期です

発展= 公害= が浮き彫りになってきていた頃です

東京の多摩川は「死の川」静岡県富士川は「死の海」と呼ばれるほど汚染がひどかったようです

当然企業も国も発展のためには公害には目を背けるという姿勢が強かった時代でもあります

自動車業界は年間187万台もの車を売り、大幅に増えた自動車の排気ガスによる大気汚染も問題に上がります

昭和45年7月、東京の環八沿いのグラウンドで練習していた学生たちが突然大量に倒れ病院に運ばれるという事件が起こり、 調査の結果は光化学スモッグが原因だということが分かります 

そんな中アメリカでマスキー法が通過します

マスキー法は車の排気ガスを現在の10分の1に減らすというとんでもない法律でアメリカのBIG3をはじめ、世界中の自動車メーカーは「マスキー法は悪法!」と猛反発をします

世界で唯一この問題に果敢に挑んだのがホンダで、工場の至る所に子供たちに青空を!』のスローガンは大きく貼られます

苦心の末CVCCエンジンを完成させマスキー法基準をクリアし、世界を仰天させます

アメリカのBIG3ですら不可能であったことを二輪車から自動車業界に参入したばかりのホンダがやってのけたのです 

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これが企業の存在意義になる 

CVCCエンジン搭載のシビックが完成した後本田宗一郎は社長の座を降ります

引退の理由を聞かれ語ったのは

「CVCCの開発に際して『BIG3に並ぶ絶好のチャンスだ!』と言ったが、若い人たちから会社のためにやっているのではない!社会のためにやっているのだと反発された」

「いつの間にか私の発想は企業本位のものになっていた」

若いというのはなんと素晴らしいことか!みんながどんどん育ってきている 

社員が社長を尊敬し、社長が社員を信頼するというがあったからこそホンダは世界に誇る大企業に成長できたのだと思います

その絆が込められた言葉が子供たちに青空を!』なのです

EVに完全に舵を取り、長らくホンダを支えてきた下請けメーカーから「エンジンのホンダがエンジンを捨てた」など批判もされていますが、スローガンから考えれば至極当然の方向転換です

このような志を持つ企業をうらやましく思います

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました

脳科学と連携したキャリア形成

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母親の出産年齢と女性の好み

脳科学者の中野信子さんの説によると

母親の出産年齢が高いと熟女好きの男性になるそうです

「出産年齢は上がってきてるので熟女好きな男性は増えそう!」と語ってました

記憶になくても『年配の女性が面倒をみて育ててくれていた』が脳に刻まれるらしいです

幼馴染の友人が娘に小学校の卒業記念は何が欲しいか聞くと「バイオリンが欲しい」と言われ楽器店に行きます

そこで「今からでは遅すぎる・・・始めるなら3歳前後だね」と言われ親子でショックを受けたそうです

今まで脳の特性・スペックは大差がなく「努力で変わる」という考え方が主流でしたが、これからは〈脳科学〉〈行動心理学〉などの進歩と連動して教育・職業の個別対応を深く考えて行ってもいいのではないかと思います

無理に12歳の娘にバイオリンを習わせて「あの子ができるのに何でお前は出来ない!」「努力が足りない!」という社会はなくすべきです

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まずは脳を知るべき 

宮口幸治さんの『ケーキが切れない非行少年たち』は個人的には衝撃の1冊でした

リゾート部門に移ってからの教育・研修はさまざまな学歴が集まっていますので、今までと勝手が違い戸惑いましたが、その謎がきれいに解決した1冊でした

教育実習経験者の新入社員とも語り合い、教育を議論するには良い題材でした

多くの人は「脳の構造なんて皆同じ」「訓練した人は有能で怠けた人が能力が劣る」と考えるます

少年院にいる少年に「3人でケーキ食べたいから平等に切って」と言えばベンツのマークになると思いきや下記のようになるそうです

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「このぐらいはわかるだろう」「このぐらいはできるだろう」「だって俺ができるんだから」 という考えがいかに危険かがわかります

「当然社会ルールは知っているはず」が理解しきれていないから少年院にいるのです

かなり世界が歪んで見えているのだといえます

下図を横に置いて模写してとやらせても正確にできません

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見る・聞くから得る認知機能に問題があるようです

物事を判断する力

未来を予測する力が弱いのも特徴です

「お金が無くて困ったらどうしますか?」に対して「働く」「借りる」とはならず「奪う」「盗む」という解答だそうです

お金が欲しい⇒稼ぐ手段が思いつかないようです

親や教師が〈しっかりダメな理由を話して原因を理解させる〉ことをしてこなかったこともあります

 
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画一的な教育に柔軟性を 

社会の仕組みも教育体系も、優れた頭脳の方々が創ったものだと思います

その内容・進展スピードについていけない人も実際は多くいます

画一的な教育プログラムなどは脳科学と連動させて変えていかなければならないのではと思います

資本主義は競争の原理で動いているので能力のある人間は有利です

誰も置き去りにしない社会を目指すのであれば、画一的な教育にもっと柔軟性を持たせるべきです

自分が、自分の大切な人が、画一的な教育・現在の社会の仕組みに適応しきれず苦悩しているのであれば、なんとか道標を作りたいです

少年院にいる子供たちの共通点は

1.認知機能の弱さ

2.感情統制の弱さ

3.融通の利かなさ

4.不適切な自己評価

にプラスして、身体的不器用さだそうです

早いうちに気づいてあげ、対応してあげれば道を踏み外すこともないわけです

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました

 

若者の日本流失はおこるのか

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子供は海外に出すと決めた!という親

とあるリフォーム会社の女性社長

「中学生の娘は海外に出す予定!これからの日本ではかわいそう」と真面目に語ります

「たしかに日本に明るい材料は少ないですが、少子高齢化が進んでも〈人口〉〈高齢者率〉など日本は30年後に今のイギリスくらいですよ」と言うと

「もう娘もそのつもりだし、語学の習得など準備は進めている」とのこと

戦後の貧しい頃の日本は海外に仕事を求めて移住していきました

現在は逆に受け入れている側です

ただ、日本の現状の苦しさは小さな会社の経営者だからこそリアルに感じているようです

新型コロナウイルス感染拡大で大学生にも再び就職氷河期到来か?と思っていましたが人手不足問題の方が大きく、まずまずの売り手市場です

にもかかわらず学生は将来の日本に期待せず新たな進路を考えています

若者の大量流失が始まると主張する人は多いです

「これから日本が成長するにはどうすべきか?」と語る人がめっきり減り「どこの国のどのような仕事がいいのか」を語る人が周りには増えてきました

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優秀な若者から出ていく 

東大生の就職先ランキングには2010年にはゼロだった外資系企業がベスト10に4社も入っています

特にコンサルティングが人気となってきています

上位20社にコンサルティングが6社です

今後は外資系がどんどん伸びてきそうです

東大生が企業選びに重視することが

1.自分がやりたい仕事であること

2.給料が高いこと

3.自分の成長が期待できること

4.自分の能力・スキルが活かせること

5.企業の安定性・成長性

となります

自分の能力とスキルを活かして、やりたい仕事でいい給料をもらうのが優秀な学生の目指すキャリアのようです

また30年・40年の自分のキャリアを会社に託せないということをよく理解しています

「安定と挑戦どちらが重要?」と聞くと挑戦50%』『安定28%(残りはわからない)のようで「安定を求めて大企業に入っても30年安定するはずがない」という考えのようです

東大生の就職に対する考え方は他の大学生にも広がっていくと思います

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日本は若手が活躍する場がない ?

決して日本をディスるつもりはありません

治安もよく、インフラも整い、食べ物は安くて美味しいです

OECD加盟国の平均賃金では日本は35ヵ国中なんと22位で、世界の中で競争力のないものとなっています

人口減少に伴うグローバルマーケットの中での日本の地位低下も追い打ちを掛けます

縮み続ける日本には若手が活躍する場はないと頭のいい学生が判断するのもうなずけます

外国人経営者やアクティブな経営者で変革する企業もあると思いますが、変われない企業が大半とみられています

新天地を求めチャレンジしていくという若者が増えるのは非常にいいことですが、日本から優秀な若者が消えていくのは少し寂しい未来に思えます

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました