人事からみた採用とキャリアアップの実情

長年の採用・教育経験から新卒就活、転職、シニア転職、キャリアアップを企業側からの目線で情報発信していきます 

価値観をバージョンアップする

知らぬうちに植えつけられた価値観

「民主主義の発想は自由だ!自分で選択・決断している」

のつもりのようで、親・教師・先輩・友人・恋人・マスコミにかなり多くの価値観を摺り込まれています

その影響を受けて選択・決断をしていることも多いです

情報民主主義と呼ばれる現代は多様化の時代になってきてはいますが、それでも外部から摺り込まれて定着してしまった価値観は多いです

以前、新卒採用で哲学科の女子学生を採用したことがありますが「入社後、哲学を議論できる人が会社にいない」と週一で大学の同級生同士で集まっていたそうです

「幸福って?働くって?さまざまな議題があり、集まると16時間は議論します」とのこと

哲学を学んでいる学生は世の中に真実などなく、あるのは解釈だけと知っているので、企業が組織都合で考え方を摺り込もうとしても拒絶されることが多いです

故に哲学科出身の新入社員を嫌う管理職は多く、人気なのは問答無用の世界で生きてきた体育会系の学生です

ただ、教育・研修責任者として哲学科出身の新入社員は真理の議論した量が圧倒的に多く、同世代の若者と違い世間の価値観を盲目的に受け入れないところが優れているように思えます

議論する仲間の質は非常に大切です

摺り込まれた価値観と現実のギャップ

大学のキャリアセンターの方と話すと「一流企業しか行きたくない」というブランド志向の学生は相変わらず多いと言います

「うちの大学からはまず無理!入ったとしても苦労する・・・」と言いたいのですが「大手企業だけが会社ではない」と諭すのが精一杯だそうです

「仕事内容云々より勤め先を聞かれた時に・・・』があるようです」とのこと

時に見栄が人間の行動基準を左右することがあります

完全に一流企業に行くべき摺り込まれた価値観に拘っています

他にも「一流企業は安定している」と思っている様ですが、会社は安定していてもあれだけ大企業が早期退職=リストラを募集しているのを見ていて「会社は安定していても人の雇用は安定していない」と気づくべきです

トヨタの社長が「これからは終身雇用の維持は難しい」

サントリーの社長が「45歳定年が望ましい」

という発言をもっと深く考えるべきだと思います

中小企業・・・特に採用専門部署をもたない小企業だと一度縁あって入社してくれた社員にはできるだけ長くいて欲しいと望んでいる会社が多いです

こちらの方がある意味、安定した終身雇用を維持していると言えます

「フランス人には風鈴が見えていない」というエピソードがあります

人は重要だと思っているものしか見えていないということだそうです

「一流企業がいい」という人に押し付けられた価値観は必ずしも自分を幸福にしません

大きな会社も小さな会社も経験しましたが

・小さい方が自分の役割・存在感は大きい

・小さい方が人手が足りず出世も早い

・小さい方が意見も言いやすく影響力も大きいのです

大企業だと「自分の部署の部長と会話をしたことなどない」はざらです

大企業は採用力もあり、毎年多くの新卒が入社してくるので代わりの人材はいくらでもいるという環境です

「人を大切にする」という意味では小さな会社の方が良い場合が多いです

摺り込まれた価値観を疑おう 

「就職先は出来るだけ大きな会社がいい」

「就職先は安定度で選ぶべき」

「文系は法学部から弁護士へ」

「理系は医学部から医者へ」

このような価値観は、友人にすり込み、後輩にすり込み、やがて子供にすり込んでいきます

「美人は性格が悪い」

「色男は金と権力が無い」

「金持ちは汚い」

と言いがかりが人によっては価値観になっている場合さえあります

時々「俺ってなんでこのような考え方するんだろ?」

「この価値観は真実?」

立ち止まって摺り込まれた価値観を見直すことも必要です

「この人は小さい会社向きなのに・・・」と感じる人も実際には多いです

昔は目上=親・教師・先輩の価値観の影響がかなり大きかったですが、情報民主主義の現代は偏った価値観を調整することに長けています

大学の教員の中には「テレビを見るな!」と訴える人が多く

「国に都合のいい価値観を摺り込んでくるから」

「CMで要らぬものを欲しがるようになるから」

が主な理由のようです

また価値観は古くなり劣化します

『多くの価値観を摺り込まれている』

『価値観は定期的にスクラップ&ビルドが必要』

と自覚しながら生きる必要がありそうです

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました