人事からみた採用とキャリアアップの実情

長年の採用・教育経験から新卒就活、転職、シニア転職、キャリアアップを企業側からの目線で情報発信していきます 

完璧主義は素晴らしいことなのか?

完璧主義=パーフェクト?

完璧主義という言葉にどのようなイメージを持ちますか?

「仕事はミスなくパーフェクトにこなす人」

「細かくて重箱の隅をつつく人」

「ミスを極端に嫌い仕事が遠回りな人」

「大雑把な俺の天敵」

捉え方は人それぞれです

履歴書の〈自覚する長所〉の欄に完璧主義と書く人もいますので一般的には長所なのだと思います

優秀な人からすると完璧主義は誇るべき特性だと認識しているようです

専門的な領域の人も同じくです

社会も「完璧・完全」であることは有能で意欲的な人物の証だと捉えています

PerfectExcellence優秀と同義です

ForbesJapanを読む限り「心理科学の最新研究は、人は完璧を追求するために高い代償を払っていることを示唆している」そうです

完璧主義」は長所ではないと示す最新研究

完璧主義は私たちに心理的なダメージを与えるそうです

心理学研究では完璧主義的な性格特性を以下の3つのカテゴリーに分類しています

自己志向的完璧主義:自身の完璧を求める傾向

他者志向的完璧主義:他者の完璧を求める傾向

社会規定的完璧主義:他者から完璧であることを求められていると信じる傾向

ある最新研究は「完璧主義を称賛されるべき」「目標とするべき特性」だという考え方に警鐘を鳴らしています

ほとんどの場合、完璧主義は抑うつにつながるそうです

完璧主義者が、他者に対して自身を表現する方法として3つの「自己表現」スタイルに分類されます

完璧主義的自己提示・・・自己の才能や能力を他人に印象づけようとする積極的行動 

Non-display of imperfections(NDP)・・・不完全な自分を見せない

Non-disclosure of imperfections(NDC)・・・自分の不完全さを口にしない

完璧主義は人を孤独にする恐れがあります

また完璧主義は子どもに遺伝することがあるそうです

心理学者のマーティン・スミスとサイモン・シェリーは最近の研究で、上を目指すようにと執拗に働きかける親を持つ子どもたちほど自己中心的、他者中心的および社会的規定による完璧主義の傾向が強くなりやすいことを発見しました

要求が多く過度に批判的な親は、完璧主義の子どもを育てます

特に超厳格で要求が多く支配的な親は要注意のようです

 「自分は完璧主義者かも・・」と考えてしまう人たちのための心理学者からのアドバイス

①完璧主義が特に他人との関係において『どのように自分を邪魔しているか』を考えてみること

②意図的に失敗したり不完全に実行する計画を立てる『行動実験』をやってみる

③子供には 何をするかだけではなく『ありのままの姿も評価していることを子どもたちに伝える

子供はできるだけ管理や批判をせず、過保護にならないようにすること

子どもに失敗を乗り越えてそこから学ぶことを教える

完璧を追求することよりも、勤勉と規律を守ることを重視する

ことだそうです

「まあいいか」は柔らかい心

MG職の方や人事担当者は社員のカウンセリングを行う人も多いと思います

とある人事担当者は「若い人の完璧主義は親の影響が大きく、ついで最初の上長の影響が多い」と言ってましたが、そうかもしれません

まあいいか・・・と思える子が一番自然体で育つ

そういう若者は先輩になっても説教や自慢話を後輩にしない

これは同感です

瀬戸物と瀬戸物はぶつかると壊れやすいです

一方が柔らかければ壊れません

完璧主義の上司は若者をつぶすことがあるつぶさないまでも成長を阻害するというベテランの人事担当者もいます

多くの社員に寄り添ってきた人は完璧主義はあまり評価しておらず、柔らかい心の持ち主を評価する傾向があるように思えます

人は仕事をするために生まれてきたのではありません

人は幸福になる為に生まれてくるのです

「完璧主義は自分を幸福にするのか?」ということをよく考えてみることも大切です

 

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口癖は運命を変える

東大行けるかも現象

2005年に放映されたドラマ『ドラゴン桜』のあとににわか東大受験ブームがおこり、東大にチャレンジする人が増えたそうです

3流高校の生徒が東京大学にうかるというドラマは「俺だって頑張れば東大に受かるかも」と高校生に希望を与えます

ですが2021年に放映された『ドラゴン桜2』の後は東大を受験する学生数に変化はなかったようです

視聴率で観ても1は16.4%、2は14.8%で同じぐらいの人が見ています

この16年間で若者のテレビ離れは進みましたが視聴率に差はありません

グループ会社の教育研修担当が「この16年間に日本人はしらけてしまったんじゃない?」などと言いますが、よく学校の先生と話をすると年々増えている傾向があります

失敗を嫌がる傾向は強くなってきていて、チャレンジしなくなってきています」

「何か質問は?と言っても誰も質問してこない

空気を読む傾向が年々強くなり、わからないことはスマホでググればいいやと考えているようです」

とのこと

この16年間の学生の変化で推測するに「勉強法を変えたって、どうせ東大なんて受かりっこない」と考えてるのではないかと述べていました

スーパーコンピューターを持たされた世代 

私が新入社員の時の上司は学校へは失敗体験させに行かせていると言ってました

「人間はじめて数年なんだから痛い目に合わないと学習しない」と先生にも伝えてあるそうです

「昨日ジャングルズムから落ちて血だらけで帰ってきたよ!」と嬉しそうに語ります

教育研修担当者でもスマホができてからの世代は失敗経験が大きく不足していると主張します

スマホで何でも調べられるので失敗したり、恥を忍んで人に聞いたりがほとんどなくなりました

Z世代をスーパーコンピューターを学生のうちから持たせた世代という人がいますが、行動を起こす前にスマホで調べるので失敗経験は少なく、知識は豊富です

台湾のIQ180のオードリータンはスマホは使わずガラケーで、スティーブ・ジョブズも自分の子供にはスマホアイパッドも持たせていないので何かあるのかもしれません

私のようなX世代も「携帯電話世代は取引先やお得意先の電話番号を一つも暗記してない」と上の世代によく言われました

まさに便利は不便といえそうです

正しいか否かに関係なく言ってはいけない言葉 

精神科医和田秀樹さんはどうせ・・・」は絶対使ってはいけない言葉だと言います

「どうせ東大なんか受かりっこない」は確かにそうなのかもしれませんが「どうせ」を口にすることがいけないということです

「気持ちが明るい人」や「表情が明るい人」に共通しているのは、世の中を否定的に見ていないということです

否定的に見ていないから、様々な可能性を探していろいろなことを試してみるという行動に出て、楽しそうに毎日を過ごしている

それとは対象的に、暗い気分でいる人に共通しているのは「どうせ……」と考えて、実際にその言葉を頻繁に口にしているそうです

口ぐせには、時として、その人の人生観物の見方が表れます

「どうせ……」と言っている人は、何かを試す前の段階で「たぶん失敗するだろう」と決めつけ、それによって勝手に暗くなっている

「どうせ……」という口ぐせにはやる前から諦めているという姿勢が示されていますから、ある意味では「自己否定」とも受け取れるネガティブなニュアンスがあると和田さんは主張します

現在の日本には、このどうせ感が蔓延しているのが問題のようです

「一生懸命に働いても、どうせ給料は上がらない」

「起業しても、どうせ失敗する」

「投資なんかしても、どうせ儲からない」

「何をやっても、どうせモテない」

国政選挙のたびに投票率の低さが話題になるのは、多くの人が「誰が議員になっても、どうせ世の中なんて変わらない」と最初から諦めて、投票に行かないからだと和田さんは見ています

2005年のドラゴン桜放映のころは『失われた30年』の真ん中あたりです

まだ「日本はまた復活する」と信じて動いていた人も多かったと思います

世の中は誰かがチャレンジしてくれたおかげで良くなっているのです

以前サッチャー元首相の言葉で「思考は言葉になり、行動になり、習慣になり、運命になる」と紹介しましたが、運命の根っこは明るくチャレンジするか、どうせ・・・と否定的かのわずかなもののような気がします

 

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いったいいつまで働けばいいのか

いつまで働く世の中になるの?

どこの企業でも70歳まで雇用するの問題を水面下議論していると思います

寿命の延びと連動して75歳、または80歳になるやもしれません

巷で騒がれている年金は無くなるはまずないです

そんなことをしたら日本は浮浪者老人であふれかえります

年間額が減っていくにしても10%前後と予測されています

年金対策は受給開始年齢の後ろ倒しとなってきます

だいたいの目安は平均寿命の15年前に受給開始だそうです

平均寿命が80歳なら65歳開始

平均寿命が90歳なら75歳開始

平均寿命が100歳なら85歳開始

と考えれば80歳まで働くは考えておかなければなりません

65歳以上の労働力人口は875万人に達し、労働力人口に占める65歳以上の割合は12.8% となっています

ライフプランで見れば昭和モデルどころか平成モデルも当てはまらなくなってきています

男性で見ると、長年にわたる労働期の疲労から60歳前後で亡くなる人もいる一方、90歳過ぎまで元気な人もいます

こうなると一律のモデルも難しくなってきます

老後事情人それぞれ 

社内で60代の就業者にカウンセリングをしてみると

「仕事辞めても特に趣味もないし、することがない」

という人はまだまだいい方です

「妻の医療費に毎月〇万掛る」

「両親の介護費用に毎月〇万掛る」

「遅い時の子供でまだ大学の学費が掛かる」

「住宅ローンがまだまだある」

などのお金の問題が最も多いです

「娘が就職したがすぐに辞めてしまい40年近く引きこもっている」

「子供は結婚はしたが仕送りをしなければならない事情がある」

などの目下である子供の面倒をまだ見ている方もいたりします

60歳で定年する人は数パーセントとなります

60歳で仕事をリタイヤすることをプチFIREと呼ぶようになってきます

「60歳は早期リタイアじゃないだろ」と思っていましたが、かなり贅沢なことで、それなりの計画性と準備が必要になってきそうです

海外旅行やゴルフ、高級車の定期的な買い替えなど「生活水準を変えられない」という人もいます

キーポイントはいくらで生活できるのかということのようです

逆に50代と話すと 「年金は60歳から繰り下げ受給でもらう」という人が何人かいます

「受給額が70%になるよ」と言うと「役職もなくなり、給与も下がり、やりがいもなくなるなら好きなことで少ない金額でも生きていきたい」といいます

「雇われない生き方を選択する」ということなので、雇用延長する方よりはよく考えており、覚悟もあります

年金の予測ですが

1965年4月2日生まれ~1966年4月1日生まれは66歳受給開始となりそうです

年金受給が60歳から65歳への移行と同じプロセスを経て、70歳へ移行するという見方がされています

Z世代から年金は変わりそうです

 

ゲームのルールが変わったようだ

60代と話すと

「オヤジは55歳まで働いて年金で悠々自適に暮らしてたので自分もそうだと思っていた

「定年起業など推奨されているのは知っているが、雇われて生きるという脳のメカニズムは変えられそうにない

「9ラウンドまでのゲームが15ラウンド制にルールチェンジしたみたいだ

などを話してきます

長年培われてきた脳のメカニズムを変えるのはかなり困難なようです

一般社団法人定年後研究所の70歳定年に対する調査によると

70歳定年を歓迎するは4割

70歳定年を歓迎しないは6割

だそうです

「とにかく労働力が足りず、できるだけ長くいてほしい」という企業は4割あります

大企業などは「45歳までで世代交代させたい」と考えている企業が多いです

難関大学を出て大企業に入っても「長く働く」ということに関していえば中小企業に劣るということです

働くなら歓迎されて働きたいと思うはずですから、そのような企業・業界への早いうちからの転身を考えておくのもありだと思います

大企業では「ぶら下がりおじさん」など陰口をたたかれても、中小企業なら「大切にしたいベテラン」になるかもしれません

寄らば大樹の陰大企業にいることが正解ではなくなってきています

テクノロジーに代替されている業種も避けた方がいいと思います

健康長寿は人類が願い続けてきたことであり、寿命はこれからも延び続けると思いますので、それに連動したライフプランを考える必要があると思います

 

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論破について考察する

論破と言えばソクラテス

ギリシャの3大哲学者と言えば、ソクラテスプラトンアリストテレス でしょうか

特に西洋哲学の父と称されるソクラテス は現代で言えば論破王として有名です

ソクラテス迷妄をなくし、誤りを見極めるためには議論を交わすのが最善であると考えており「考え方の違う人との議論」を好んだと言います

町の広場で、知識人たちと議論を頻繁にしていました

ソクラテスが好んだ手法はまず相手に主張をさせてから、そう考える理由について問いかけをすることで、その知識人が持っていた自信は最終的にほとんど根拠のなかったことにしてしまいます

人間は思いのほか知っていることは少ないということをわかってほしかったのが目的のようです

活発な民主主義のアテネでは、公の場で誰もが自由に意見を述べるという文化でした

ただ多くのの市民は議論を勝つか負けるかのゼロサム・ゲームと見て楽しんでいたようです

ソクラテスは「自分は相手を打ち負かそうという気はない」ことを何度も強調していたようで、人々を安心させたりなだめたりをよくしています

アテネの人々に間違えることは悪いことではなく、むしろ感謝すべきことであるとわかってもらいたかったようです

しかしソクラテスの論破している姿を「カッコイイ」と真似を始める若者が現れ「ソクラテスのせいで若者たちが堕落している」と罪に問われ、死刑を宣告されます

ソクラテスの最後は毒杯を飲み自らの命を絶つというものでした 

論破は相手のメンツをつぶす 

人の自信の8割は根拠のないものと言います

また聞いている方も、自信たっぷりに言われると信じ込んだりしますので、間違ったことを行い悲劇を呼ぶこともあります

「じゃあ、ソクラテスのように根拠のないことを解き明かして真実をわからせるのはいいことではないか?!」というかもしれません

しかし皆の前で論破された方は強く妬みをおぼえるということです

これは私も営業企画部時代に経験があります

何かを企画し、実行しようとすれば大きなお金が掛かります

コストは利益で回収しなければなりません

それなりにデータやシミレーションを準備して会議に臨みますが、浅はかな反対意見を述べる人は少なからずいます

そこで「貴方の意見は間違っている!だって○○」などと具体的に追い込むと相手はメンツをつぶされます

また論破している姿はカッコよく映るので浅い知識の社員を引き付けます

白黒はっきりする、明暗を分ける、正義と悪などのわかりやすい分断を人は好むようです

若いうちはこのようなことをやりがちで、後でしっかり先輩社員に諭されました

「表向きは従うが内心強い反発心と妬みの感情を持つぞ!」

「いざという時、力を貸してくれなくなる」

「ついてくるのは論破がカッコイイと思うへなちょこ社員だけになる」

正しいか否かではなく相手のメンツをつぶすはしてはならないことだということです

メンツをつぶすはビジネスでは悪手

議論と論破は似て非なるものです

ビジネスに生きる人は

相手のメンツを潰すこと

恩を仇で返すこと

恥をかかせることは絶対にやってはならないことです

恨みをかって無駄に敵を増やすことになります

何かあった時に仕返しされたり、窮地に陥った時に助けてくれなくなります

そもそも力で押さえつけたものは、力がなくなったら反撃されるのが世の常です

ミスをした方と被害を受けた方

片方は強く主張でき、片方は何も言えない立場です

人は強者にまわった時に人間性が試されています

現代は情報民主主義の時代と呼ばれていますので、いたるところで『論破=メンツをつぶす』 行動を目にし、また人を引き付けます

メンツとは「面子」と書き

『自分が持っているプライドや世間に対しての絶対的な誇り』

『自信としているもの・世間や自分以外の人に合わせる顔・名誉』

などを意味しています

論破というものは一種の心を壊す害だと思います

 

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思考は運命となっていく

マーガレット・サッチャー 

イギリスの新しい首相のトラス氏は2代目の女性首相と呼ばれています

初代の女性首相はマーガレット・サッチャーですがご存じでしょうか?

「女性のリーダーもどんどん活躍させよう!」という今と違い、まだまだ世界は男尊女卑で「リーダーは男性が適任」と思われていた時代のイギリスのトップになった女性です

イギリス初の女性首相に就任した サッチャーはイギリス経済の立て直しを図り、強い意志で改革を推し進め鉄の女と呼ばれていました

その強引な国内改革と決断力は国民に頼もしさを与える一方で、 同時に反発心を招くこともありました

鉄の女は2013年に87歳でその生涯を終えました

サッチャーの有名な言葉に

リーダーは好かれなくてもよいしかし、尊敬されなくてはならない

強者を弱くすることによって、弱者を強くすることはできない

私は意見の一致を求める政治家ではない信念の政治家だ!」

意見の一致には危険が潜む!」

などがあり私の好きな指導者の一人です

サッチャーの名言 

サッチャーの名言の中に有名な次の言葉があります

考えは言葉となり

言葉は行動となり

行動は習慣となり

習慣は人格となり

人格は運命となる

サッチャーの言葉通りに言えば

あなたの考えには注意しなさい

なぜならそれは言葉になるから

あなたの言葉には注意しなさい

なぜならそれは行動となるから

あなたの行動には注意しなさい

なぜならそれは習慣になるから

あなたの習慣には注意しなさい

なぜならそれは人格になるから

あなたの人格には注意しなさい

なぜならそれは運命になるから 

サッチャーの残した言葉の全文はとてもシンプルで、その通りに実践すれば確実に人格者になれそうです

すべての基本は考えることから始まります

どんな環境であっても前向きに考えることの重要性をサッチャーは説いています

基本は考えることから始める 

日本の幸田露伴人は性格と異なる運命には出会わないと説いています

「短気な性格が創る運命」

「理屈っぽい人が創る運命」

「ケチな人が創る運命」

「人の良い点ばかりほめる人の運命」

「常に自己改革を続ける人の運命」

「他人を思いやる人の運命」

○○な性格が■■の運命を創り上げた・・・

運命は性格から作り出されたものだということです

社会人を長くしていると原因他人論の人と原因自分論の人とでは長い期間でかなりの違いがあります

運命というと何か自分の力ではどうにもならないことのように感じますが、実際は運命は自分が作り上げていくものだと思います

 

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侍の子供の教育はどんなものだったのか

江戸時代の教育とは 

日本は長らく鎖国をしており300年遅れていたことになりますが、開国と同時にすごい勢いで先進諸国の文化・文明を吸収していきます

これは日本の寺子屋読み・書き・そろばんを教え込んでいたためだと言われています

知識を吸収・知識を伝達・計算ができたので吸収が早かったと言われています

「江戸時代の子供たちはどんな教育をされていたのか」歴史研究家の河合敦さんの研究を基に調べてみました

江戸時代の教育は各藩に委ねられていたそうです

私が以前いた『米百俵の精神』の新潟県の長岡藩などは陽明学を取り入れていたと土地の人が話していました

次に転勤した茨城県水戸市水戸黄門で有名な徳川御三家の地です

転勤族だったので「その地その地で教育文化が違うな」と興味をもつようになりました

この時代の教育は武士の子供が中心になります

『読み・書き・そろばん』以外にも精神鍛錬の教育が武士の教育の特徴とされます

薩摩武士の教育

薩摩武士で有名な薩摩藩に藩校では藩士の子供たちは郷中と呼ぶ近隣グループを作って自主教育を行っていたようです

現在は〈小学校低学年〉〈小学校高学年〉〈中学校〉〈高等学校〉の3年4クール

薩摩藩では

6歳から10歳頃までを小稚児

11歳から15歳頃までを長稚児

15歳から25歳頃(妻帯前)までを二才

と呼び、それぞれの同年齢集団がお互いに研鑚しあったようです

小学校高学年と中学がくっつき、高校と大学がくっついたような教育体系ですね

小稚児集団は長稚児に、長稚児は二才に指導を仰ぐ年功序列の教育制度が機能していたので「教えることの能力」を培っていたのかもしれません

スケジュールを見ると

稚児は毎朝6時に二才の屋敷へ行き、四書五経などを学ぶ

午前8時になると同年齢集団で相撲や戦ごっこ、駆けっこや縄跳びなどで遊びながら体を鍛える

午前10時小稚児集団は長稚児のもとに集まり、今朝学んだことを反復させられる

 昼から午後4時までは遊戯の時間ですが、個人行動は許されず仲間とともに遊ばなくてはならなかったようです

その後は武道の鍛錬ということで、稚児は二才から2時間みっちりしごかれます

午後6時になると、小稚児は一切の外出を禁じられた

長稚児は、二才のもとに出向いて夜8時まで夜話を聞き、武士としてのあり方を学んだ

これが1日の流れのようです

教育で重視されたのは知識の修得ではなく

仲間との団結

長幼順の遵守

武芸の上達

いざというときに命を捨てる覚悟

人間としての潔さ

であり、こうした教育を受け続けることで、主君の命に絶対的に服従する剽悍な薩摩隼人が完成したようです

武士の中の武士・会津藩の教育 

会津藩松平家の祖は保科正之ですが、会津藩の領主はめまぐるしく入れ替わります 

 会津の地を支配していたのは蘆名氏でしたが伊達政宗がこの地を占領します

その政宗も翌年、小田原平定に遅延したことから豊臣秀吉会津を没収され、秀吉は同年に蒲生氏郷会津に入れます

蒲生氏郷の後、秀吉から会津を付与されたのは上杉景勝ですが、関ヶ原合戦後は蒲生秀行が旧領会津へ戻ります

その後も目まぐるしく領主が変わっていきます

その会津藩の教育は

 男児は6歳になると城下の寺子屋や私塾に入り読み書きを学びます

同時に「什」と称する10名前後のグループに属し、毎日いっしょに遊びます

リーダーを什長と呼び9歳児がその任に就き、毎日仲間に向かって什の掟を読み上げる

一、年長者の言うことに背いてはなりませぬ

二、年長者にはお辞儀をしなければなりませぬ

三、虚言を言うことはなりませぬ

四、卑怯な振る舞いをしてはなりませぬ

五、弱い者をいじめてはなりませぬ

六、戸外で物を食べてはなりませぬ

七、戸外で婦人と言葉を交えてはなりませぬ。 ならぬことは、ならぬものです

というもので、掟を破った子は「手あぶり」「雪埋め」「派切り」にされたそうです

いつ藩命で切腹を申しつかっても、武士らしく自害できるようにとの考えからであったようです

10歳になると家臣全員が藩校「日新館」に入学します

会津藩幼年者心得之廉書十七カ条を全藩士に配布し、幼少年の家庭教育を徹底させています

会津藩では、幼いときから目上の者や父母に対する絶対的な服従心を家庭で教えていたのです

こうした教育により、会津藩では独特な士風が醸成されるようになったようです

これはまだ日本人の精神に残っているものが多々ありますね

 

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改めて感じる大義名分の大切さ

企画が却下され続ける日々

本社の営業企画部にいた頃、様々なイベントを企画する責任者でした

当然企画したイベントには経費が掛かります

「かけたコストは利益として回収しなければならない」はよくわかっています

営業部や商品本部の人たちは好意的でしたが、いつもA経理課長が難癖付けてきます

同じ課長でも私は地方の支店から来た新参者

経理課長は14年先輩で経理のキャリアも25年のベテラン

定期採用しかいないこの会社は部活のように入社年で上下関係があります

銀行の融資部のようなので、私の部署では融資課長などと呼んでいました

最初の3か月くらいは部長や他の課長が援護射撃してくれます

実は営業企画部の3課長は出身大学が一緒でした

援護射撃がなくなると、経理課長から却下!却下!の連打です

「新参者いびりか?こいつは数字でしか物事を判断できない冷たい脳みそをしてるのか?」と考えたりします

そもそも20人にも満たない支店の長の頃はチェック者がいなかったので、企画したら即実行の世界でした

本社という大組織ではそうもいきません

段取りというものに未熟だったのも確かですが、毎日通勤の小田急線の中で悶々としていました

大義名分が弱い」と言われ続ける 

経理課の後輩に「A課長は曲者だよね?」と尋ねます

「支店の主任時代は部下想いの人だったと評判はいいですよ!なんせ今は会社の金庫番ですからね!支店の経費担当とはわけが違いますよ」とのこと

そうこうするうちに日限が迫ってきます

経理課長自ら私のところに来ると「本部のカタチから入る企画と違って、アイディアが面白いよね」と切り出しアドバイスしてくれます

「支店の『やれ!』だけで動かせるのと違い、2,300人の営業社員を動かすには大義名分が弱いと動かない」と真っ先に言われます

大義名分・・・考えてなかった

大義名分とは重大な行動を起こす際の名目・根拠・事由のこと

たとえば戦争の大義名分なら開戦事由を指します

日本が太平洋戦争のとき、アジアは白人の国々の植民地となっていたので「白人社会からの解放」「大東亜共栄圏を築く」という大義名分の下に開戦に踏み切りました

大義」には人として守るべき事柄、 重要な意義

「名分」には立場、身分に応じて守らなければならない正しい道という意味があります

すなわち守るべき正しい道を表す語です

次いでいいアドバイスをしてくれます

「俺もそうだったけど、本社に来ると背伸びして意味なく難しく書いたりする

中学生にわかるようなレベルにかみ砕いてほしい」

「数字はカラフルなグラフにして、見出し⇒説明の流れで図を多用化してほしい」

など指摘された通りに書き直します

後日、本部長から「よくなったね!誰かに何か言われたかい?」と笑っています

支店長というお山の大将で長年過ごし「俺が企画すれば予算はいく」などと少し思っていましたが自信の8割は根拠のないものということがよくわかりました

技の鍛錬×指導×実戦経験から人はができると言いますが、最初の一年間は型作りの一年でした

大義名分の弱いロシア 

ロシアのウクライナ侵攻の大義名分は「ウクライナのナチ化でウクライナにいるロシア人が苦しめられている」というものです

これが真実か否かはおいといてこの大義名分で兵士は動くかということです

ロシアは世界第2位の軍事大国なので武器は豊富ですが兵士の士気が問題とされています

一方のウクライナは武器は不足していますが兵士の士気は高いです

ウクライナの兵士の平均年齢は30~35歳

対峙するロシアの兵士の平均年齢は20歳~25歳の徴兵された若者が中心です

曖昧な大義名分で徴兵された若者』vs『国を守る強い大義名分の志願兵の戦いです

「命を懸けてまでウクライナと戦争する意味はあるのか?」と考えれば士気は落ちます

「冷酷な侵略者から家族と国を守るんだ!」と考えれば士気は上がります

多くの人員を動かすには大義名分は非常に大切だと今回の戦争で改めて実感しました

 

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脳をだまそう!

意外に簡単に騙される私たちの脳

前回、松下幸之助さんの言葉で「いい会社に入ったと言い続けよう」という話をしました

「会社が好き」という人は思いのほか出世します

一種の暗示のようです

女の子に「〇〇ちゃんは可愛いね」

男の子に「〇〇くんはカッコいいね」

と言い続けると成長してからのファッションセンスは良くなるようです

会社の若手社員に

「君は優秀だな」

「君がいると本当に助かるよ」

というと本当に優秀になることもあります

中世の大航海時代、船酔いのひどい人に「このスープを飲めば、あっという間に酔いが治る」と普通のスープを飲ませたら、本当に酔いが止まった

医者が「この薬は頭痛によく効く」と小麦粉を飲ませたら治った

怖い話では、カリブ海のブードゥ教で「お前に呪いをかけた!」というだけで死んでしまう人もいるそうです

人間の脳は意外なほど騙されやすいようです

脳を上手くだませばメリット大 

騙すというと聞こえは悪いですが、いい騙し方もあります

思い込みから受ける良い影響や効果の事をプラシーボ効果というそうです

脳は実は単純で、言葉の影響を受けやすいのです

割りと多くの人がやっていることで自分自身の想い・目標を具体的に紙に書きだし目にするところに張っておくなどがあります

「目標○○大学合格!」

「サッカー部のレギュラーになる」

「目指せ、夏までに体重○○キロ」などです

何度もそれを目にすることによって脳にインプットされる

目標を明確に意識付けることにより、やる気のスイッチが入る

前向きな思いを駆り立てることにつながる

『紙に書いて見えるところに貼る』は多くの成功者が推奨している行動です

「大げさなアピールは恥ずかしい」と照れたり、謙虚な態度や謙遜が多い日本人には効果的な手法のように感じます

試合の前のガッツポーズも効果があるそうです

逆にみれば病は気からというように「この病気には勝てない」と思えば悪化したり、思いのほか長引いたりします

金言との出会いでも変わる 

素晴らしい実績を残した人のほとんどが若い頃に強く影響を受けた言葉や人があると言います

立派な先輩にだ合わなくても書物などの言葉で金言も多くあります

本当にいい言葉は風化しません

『風化しない言葉』は 困難にぶつかった時や、挫折した時などに、その言葉の力で乗り越えられたりします

スポーツ選手がよく使う方法にイメージトレーニンがあります

「勝った時のイメージを何度も繰り返す」

「技が成功したイメージを何度も想い描く」などです

 自分が上手く身体を動かしていることをイメージすることで、 実際の動きよりもパフォーマンスが上昇するようです

プラシーボ効果は上手く活用すれば成果も変わってきそうです

 

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アンチ労働

息子が無職を目指してる!と狼狽する親

前回は「企業への就職だけが労働ではない」という内容でしたが、労働を否定しているのではありません

団塊の世代から見たらFIREなど受け入れがたい生き方らしく、定年した前の会社の先輩に「息子が将来は株式投資だけで(FIREして)暮らしていくと言い出したから説得して欲しい」と相談を受けました

三菱サラリーマンが株式投資でリタイア目指してみた のブログを見ていたく共感したようです

30歳で「もう働かなくても生きていける状態」は日々辛い仕事をしている人にとっては夢のような話だと思います

ただ『三菱の高賃金×給与の8割を投資に回す=30歳で7500万』は超一流企業に就職したことにより実現したことであり、ご子息の〈現在の金額〉〈月々の投資額〉を見る限り「早くて50歳、このペースだと60歳前後」と伝えました

「60歳って定年じゃないか!早く実現しても昔の定年だよね!なんだ・・・」と安心していました

モーレツの時代を生きた団塊の世代の父親からすれば働かずに生きるなどは言語道断という感じです

私達は資本家ではない 

米国のサイト「レディット」で反労働をテーマにしたコミュニティが盛り上がっいているそうです

「資本家のように労働しないで生きていきたい」で160万以上の参加者がいるとのこと

資本主義を転覆させて、できる限り労働に伴う強制的要素をなくすことが議論の中心のようです

「金持ちが働かないように俺たちも働かないで生きていく」と主張しているのですが、資本家は株や不動産に働かせ、経営者は従業員に働かせます

それがないのであれば自分の体力知力で働くしかありません

私は教育研修の責任者なので「労働を美化する言葉が上手いですね」とよく言われますが、言ってるほど労働は美しいものではないことはよくわかっています

ただ若い世代には「労働の意義を様々な角度から発信しなければ」と思っています

日経ビジネスまで表紙に「どうする?働かないおじさん」という言葉が踊り、書籍、SNSに「働かないおじさん」という言葉を目にするようになりました

年収2000万円の窓際族をWindows2000と呼ぶらしいです

なかなかのブラックジョークです

ジョブ型雇用を理想とする若者たちと、終身雇用を理想とする世代の入り混じった労働の転換期だと思います

ジョブ型雇用を基準に考える若者からすれば「2000万払う実力があるのか?」という見方をします

終身雇用型の見方は「〇十年在籍し、長く会社に貢献してきた」となります

若い世代に考えて欲しい「労働」

社会に出たての若い世代にはアンチ労働的な言葉はできるだけスルーしてもらいたいものです

私も最初に心の支えになった言葉が、松下幸之助さんの

君に合う仕事はない君が仕事に合わせるだけだ!」 でした

「この仕事は俺には向いていない」と考えたりします

これは若さゆえの経験不足からです

さらに松下幸之助の言葉で伝えたいのが

重役になる確かな方法が一つある

その会社に入ったらいい会社である

と両親に言い

友人に言う

同僚に言い

上司、後輩に言う

それを終始一貫して続ければ信念が生まれ 運気が強くなる

「会社に都合がいい洗脳の言葉ではないか?」と感じる方もいるかもしれませんが「いい会社に入った!」と言い続けていると不思議と運気は上がっていきます

人は陽の氣を増やす行動をとることが大切だと思います

「労働なんてばかばかしい」

「なんであんなおじさんが高い年収なんだ」

「この会社では成長できない」

そうなのかもしれませんが、陰の氣を吐き出すと運気は下降していきます

「根拠なくいい会社とは言えない」はわかりますが、そもそも人の自信の8割は根拠のないものです

人はプラスもマイナスも口からは来ます

「口」に「+・-」で「という字になります

「-」マイナスをとればう」になります

社会人としての成長期は陽の氣を吸い込み吐き出しつつ過ごすべきだと思います

 

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました